藤岡のIさんが遊びに来た。ご親戚のおばさん(同じく藤岡在住)も同伴であった。僕らは年寄りの話に常に注目しているので、このときも囲炉裏でお茶を出し、そのおばさんの話に耳を傾けた。
囲炉裏で炎を上げるとそのおばさんは目を細め嬉しそうな顔をして
「火の扱いが上手ですねぇ」
薪風呂の話になり、僕らがそれに感激している話をすると、おばさんは、
「薪風呂は暖まり方がぜんぜん違いますよね」
と言った。それはほんとうに、しみじみと全身から絞り出すような強い言葉だった。
また、薪を使う生活が、今の時代に受け入れられないことを悔やんでいるかのような言いぶりだった。