肩ひも(連尺)を作る


【連尺】(れんじゃく)・・・物を背負うのに用いる道具。肩に当たる部分を麻縄などで幅広く編んだ荷縄・・・を作って欲しいと未知の読者さんから注文が来ていた。以前「背負子」を作ったときにやった手編みの「肩ひも」のことなのだが、この作り方がなぜかネットではまったく出てこない。というわけで僕のブログ人気記事では常に上位にあがっている。

肩ひも自作(2017.2.2)

市場に買い出しに行く時の竹かごに使うというので、「こんな感じですか?」というイメージ図を送って、OK確認してから製作。

シングルで摩擦荷重もかかるのでやや分厚くがっちり作ることにした。

高松の大型ホームセンター「西村ジョイ」にはロープの切り売りコーナーがあってメーター単位で様々な素材と径のロープが選べるので便利。このところ焚き火の三又や囲炉裏の自在カギなどでいろんなロープを使うので重宝している。

【連尺】の肩ひも編み部には中細のマニラ麻を4本、その両側のむすびひもは白い混紡(綿+化繊)の太紐(9㎜)を今回はダブルで。接続部はシンプルに互いのロープを「ひばり結び」で緊結する。編み部の麻縄はダブルでくぐらせる。すると「機織り(はたおり)」で言うところの4本の縦糸ができる。

横糸となる「編み布」はインド綿を割いて使う(実際はハサミで切っている)。これは下屋のドアがわりに使っていた布。実は昨年末に注文が来ていたのだが、ドアの製作が遅れてしまってなかなかこの布を外せないでいた。肩当てはちょっと使い込んだ古布のほうがよいのだ。

幅は70㎜、長さは60㎝くらいに揃えておく。

編み始め。いちばん左側の麻縄に団子結びで縛ってから編み始める。

布地は図のとうに左右の切れ端を内側に畳み込むようにして爪でしごいて癖をつけ、さらにねじりを入れて使っていく。

交互に麻縄をくぐらせて右端まできたらターン、これを繰り返す。

布は足りなくなってくるので途中で継ぎ足していく。

足ししろは20㎜ほどとる。同じく内側に畳み込んで・・・

再びねじりながら編み込んでいく。

途中で麻ヒモを引きながら編み布をきつく詰めて(締めて)いくのも大切。

編み布はつねにねじりを加えていく。右利きの人は写真のような回転方向で編んでいくとやりやすく、かつばらけにくいと思う。

ここまでで8枚の布を継ぎ足して使っている。

仕上げ。左端の麻縄に団子結び。

麻縄を四つ編みしていく。留めの基部はのちに銅線で巻いて締め上げておく。

前回は9㎜ロープを編み込んでいったのだが、今回はダブルで使いたいのでいったん麻縄を銅線で縛ってとめておき、そこにひばり結びで接続。

完成。買い物かごの荷重と揺さぶりはかなりのものだと思うので、今回は両側を9㎜のダブルで作り込んだ。【連尺】(れんじゃく)は背負いかご用のものはネットで市販もあるがシングルの長手は見当たらないようだ(そこで僕に注文が来たというわけ)。

昔は山村の夜なべ仕事で囲炉裏端でこんなのどこでも作られていたのだと思うけどなぁ・・。

とはいえ仕上がりがだいぶ遅れてしまったので、お詫びのしるしにネームホルダをサービスすることに。

ヤギに皮を食われて枯れてしまったカツラの木を使ってみた。そこに彫刻刀でユーザーさんの名前を刻印。

麻縄の四つ編み部に結ぶ。

これをパッケージしてヤマト便で送付。

後日、ユーザーさんから「とても満足しています」とのお礼のメールをいただいた。いま背負いひもはナイロン製がほとんどだけど、天然素材のバッグなどにはやはりこういう手編みが似合うと思うよ。

慣れれば半日ほどで作れます。皆さんもやってみてね!


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