手作り「タンドール窯」で焼くタンドリーチキン


Gomyo倶楽部の定例活動日。雨予報だったが、私も含め次週はみな予定があるようなので雨天決行となった。今日はいよいよタンドール窯を本格始動し、タンドリーチキンを焼く。

さて、その前にこのタンドール窯の製作過程をもう一度おさらいしておこう。学研プラスのDIY雑誌『ドゥーパ!』に以前連載(※)した私のイラストである(2013.6)。これがインド料理店で使われているタンドール窯の一般的な構造だ。

これをそのまま作るのは大変なので、連載ではペール缶と素焼きの鉢を利用したDIYタンドールをイラスト化した。ネットで「自作タンドール窯」を検索してみるとこのペール缶タンドールはけっこう作られているようだ。

しかしこれではイベントに使うにはサイズが小さい。Gomyo倶楽部では、骨董屋で見つけてきた焼き物の甕(かめ)を使い、その底の切断面を下にしてさらに耐火レンガを組み合わせ、やや大きめのタンドール窯を作ってみた。

2019.11.3 Gomyo倶楽部

耐火煉瓦をベースにして3段にレンガを組み(一番上だけ縦使い)その上に甕を置く。

下に空気孔を開ける。ここが灰や炭の取り出し口にもなる。

仮組みができたら、いちど解体してから粘土を目地にしてレンガを一段ずつ重ね、組み合わせていく。レンガのすき間には粘土団子を叩きつけるようにしてボリュームを作っていく。

最初は全体をレンガで覆う予定だったが、隣のピザ窯に呼応するように下半分は石で組みたくなった(実際、余った石が周囲に残っていたのでその処理も兼ねた)。石垣を組む要領で落ちないように一段ずつ重ねていく。正面には大きな「要石(かなめいし)」を置いて「顔」を作る。この時点では目地に粘土を挟んでいない。石積みは直感とリズムが大事なので空積みし、すき間には上から砂や小石を入れていった。

そうしてから粘土団子を石の間に叩きつけて、指で押しながら空隙を埋めるように覆っていく。さらに甕の上の部分は赤レンガを回すように重ねていく。レンガはあらかじめ水に浸しておくと粘土とよく馴染む。

2020.1.19 Gomyo倶楽部

最終的に甕の口のツラと合うように目地の高さを調整し・・・

このように3段で完成。すなわち下半分はレンガが内側に、上半分はレンガが外側に、というネガポジ構造になっている。レンガの泥汚れは濡れ雑巾で拭き取っておくとキレイだ。また、石も全部年度で覆わずに、ゴツゴツした部分を表に出しておくとデザイン的に美しい。

お隣のピザ窯との関係はこんな感じ。いいね♬

さて前回は初火入れして、よく燃えるのを確かめ1時間ほどで調理開始できることが分かった(ナンだけ焼いてみた)。ピザ窯とちがって下に炭火という熱源があるために、熱効率がいいのである。もちろん円筒形の周囲からの輻射熱もある。

2020.2.2 Gomyo倶楽部

そしてタンドールの特異な点は、閉鎖空間における蒸し焼きになり、かつ素材から滴り落ちる脂や汁で薫香が立ちのぼり、材料に炭焼き独特のフレーバーがつくことである。ではタンドリーチキンを焼いてみる。

金串は鉄製の角、丸、銅製の丸と3種類用意。

先端は尖らせてある。

竹でだいぶ熾ができたところで大きめの硬木の薪(ここではクヌギ)を2本入れ、さらに枯れ竹を足し、硬木薪が熾炭になって全体に炎が静まったら焼く準備が整った。甕の下部はスス切れをおこして白くなっているのがわかる。

銅の丸棒に手羽元を、鉄の角棒にモモと胸肉を刺してみる。

投入!

こうして立てかけて蓋をする。スリットを入れておくと蓋が中央に納まる。

途中で焼け具合を確認。ものすごくいい匂いが立ちのぼってくる!!!

完成! 火通りもばっちり。ただし銅串は熱に弱く曲がってしまった。

味はすばらしい。さすがにひと晩寝かせただけあって塩味やスパイスが馴染んでおり、インド料理店顔負けの逸品となった。

ナンも焼いてみたが、今回は甕にくっつかず下に落ちるということが何度か起きた。以下のような原因が考えられる。

・使ったのが素焼きの甕ではないので釉薬が塗られていて滑りやすい?
・ススがよく拭き取れていなかった(最初炎を上らせるため甕の内側上部にはススが残る
・壁面の温度が落ちてしまった

・ナンの整形に手間取って生地の表面が乾いた
・押し付け方がヘタ(専用のガッティが必要)

次回はガッティも準備しよう。

あとは生地扱いの練習だな♬ ピザ生地の伸ばしも本来は難しいものだからね。

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まあどうしてもダメならこのように串に巻いてねじりパンにして焼いてしまうとよい。

帰りに石田高校に立ち寄って、工作室で串の反対側も曲げてもらった。これで吊り下げて管理できる。また串刺しは下のほうが焦げやすいので、途中で逆さまにして入れてみても良いと思う。するとタンドールの深さに対する串の長さも重要になってくる。一旦さした素材はもう串から動かせないわけだから。

ちなみに、長く使われたタンドール窯は熱せられた土やレンガが芳香を出し、料理を非常に美味しくするそうだ。今後が楽しみです♬

Gomyo倶楽部2020.2.16活動報告

▼タンドール窯の作り方を紹介した『ドゥーパ!』バックナンバーはこちら。

▼制作過程はこちらです。

脱穀&「タンドール窯」を造る(その1)

ため池の浚渫、タンドール窯づくり(その2)

 


「手作り「タンドール窯」で焼くタンドリーチキン」への4件のフィードバック

  1. タンドールで検索しておりましたらブログにたどり着きました。以前もタンドールを作ろうとドゥーパ2013、4月号購入しましたがやらぬまま今に至ります
    今回はこちらブログを参考に作ってみようと思い拝見しております。
    石と煉瓦を組み立てる工程で、使用している「粘土」はどのような物を使用しているのでしょうか。ご教示ください。

    1. 粘土は土壁を崩した廃材土を水で練り直したり、陶芸用の粘土でもなんでもいいのです。Gomyo倶楽部の場合は土建業者から篩(ふるい)土といって土木用材の花崗土をふるったときに出る細かい粒子の土を安い値段でわけてもらいました。山で掘り出した粘土をそのまま水で練ってもいいと思いますよ。ただし「切り藁(わら)」など植物繊維を少し混ぜ込むと扱いやすくなり、乾いたときひび割れしても崩れ落ちたりしません。陶芸用の粘土がいちばん精製度が高いのできれいに作れると思いますが、値段は高いです。土建屋さん、瓦屋さん、ホームセンターなどで問い合わせてみてください。

      1. 早々に回答いただき有難う御座います。
        陶芸用の粘土で検討しようと思います。
        ありがとうございました。

  2. すごいですね‼︎羨ましい。

    自宅でタンドールでナンを焼くことが夢です。
    七輪の上に、タンドール的な土窯をかぶせてみたらどうかなぁと考えています。

    本来のタンドール窯の上半分くらいを陶芸で自作してみようかと思うのですが、どう思いますか⁇

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