午後から木工。このごろ火鉢で鍋をやっているので箱火鉢に寄り添う座卓が欲しい。座卓といっても極小でミニマルなやつ。
廃材・残材のインパクトドライバー木工では、まず材料を見て形がひらめくことが多い。というか、材料が自ずと形を限定してくる。決めてくれる。まずは35mm厚のスギ板。サイズは約260mm×190mm。階段の踏み板の端切れである。
パルテノンの中にぞんざいに転がしておいたので、汚れやシミ、焼けが表面にできてしまった。しかし、この板は目の詰まった天然杉と思われる。磨けば光る玉だ。割って薪にしてしまうにはもったいない。
テーブルなのでハツりではなくサンドペーパーで磨く。ほんとうは鉋で削りたいがスギの平板を美しく鉋がけするのは素人には至難のワザである。
磨くと美しい木目が見えてきた。切れ端なので正確な直角になるよう修正切りをする。また新しく美しい小口を見せる目的もある。
脚はベイヒバ(外材)を使う。ちょうどいいサイズ(37mm角)のものがころがっていたからだ。木目は非常に緻密で、赤身はなく真っ白に近い。
1本正確に切ったら、それを定規代わりにして同寸に3本の脚を切り出す。テーブルなら4本では? と思うだろうけど、3本なら脚のぐらつきもない。
この脚を直接板にインパクトドライバーでねじ込んでしまうのだが、切り欠きを作らないと脚が回転してしまう。天板の裏にスミ付け。角に2カ所。
反対側はセンターに1カ所
これを2mm削って脚を埋め込む。その厚みのスミ付けはは鉛筆線ではなくけひきを使う。
小口側。鉛筆よりずっと正確な線が引ける。
90度反対側にも。けひきはまったく同寸を正確に転写できるのでこのような多数の切り欠き作業には欠かせない道具だ。
ノミでスミ線の上から縦に打ち込んでおき、横からカナヅチを使って削り込んでいく。
このときいきなり深彫りせず、ある程度彫れたら両サイドをけひき線ぎりぎりまで斜めに削っておき、それを目安にノミの裏側を使って全体を平らに均していくのである。
3つできた。
脚をはめてみる。今回の脚はツラ合わせでいく。
9mmドリルで10mmほど座堀りし、24mmの長ネジで1本で脚を止める。
これで脚は天板に吸い付くように止まり、びくともしない強度をもつ。
埋木でビスの穴を隠す。ボンドが乾いたらノミで削って、今回は蜜蝋ワックスで仕上げてみる。
完成。これなら座の前に置いても鍋にも手が届く。
3本にしたことであぐら座りのときテーブル下に空間が生まれ、窮屈感が緩和される。ちょいとお茶や酒を飲むときも便利だ♬ 究極のミニマルテーブル、けっこう美しいではないか。
図面です。
これでテーブルへの脚の止め方のバリエーションは出尽くしたか?
○角材に添え止め:スギ板の小さな机 ベッド用ミニテーブル
○収納箱を脚に:裁縫テーブル
○片側を壁付けに:1本脚の仕事机 ブロック利用のアイランドテーブル
○井桁にほぞ組みとピン接合:厨子の台座
こうして並べてみると、やはりインパクトドライバーの威力を発揮させるには、その前の細工が大切だということが解る。
まず力学的に安定するアイデアが必要なのはもちろんだが(そのためには木材の性質を知らねばならない)、電動道具を使いこなす前に手ノコ、ノミ、鉋をあるていど扱えることが大事なのだ。
もちろんノミに代わるルーターやトリマー、電動鉋があるが、それらは音がうるさく値段も高い。そして電動工具は危険なものだ。
私がこのアトリエで作ってきた木工の電動工具は小型電動ノコギリとインパクトドライバーの2つだけだ。
さて、薪の中から取り出してきたヤマザクラを二つ割りしておこう。
小口を見ると、必ず割れが入っているので、
そこにクサビを合わせてハンマーで叩き、クサビを食い込ませる。
横にして足で踏んで押さえ。ハンマーを振り子のように使って叩く。
割れたらもう一つのクサビを使って開いていく。油断して指など挟まないように。
こうして下屋に積んでおき、さらに乾燥をすすめる。料理用の木べらでも作ろうかな? と思案中。