厨子の台座(テーブル)を作る


先日以下のように書いたテーブルづくりに着手。

またDIYの必要にかられている。新たにテーブルが必要になる。テーブルというよりも台座といったほうが正確なのだが。

それは作業机・仕事机ではないので、どっしりとした機能は必要ないのだが、なにか象徴的な意匠のようなもの欲しくなってくる。とはいえ、この部屋にちゃらちゃらした装飾は似合わない。ミニマルな感じでそれを表現したい。

上に乗るのは厨子なので、テーブルというよりも台座(祭壇)の性格を帯びる。天板は愛工房のフローリング材をつないで作ることに決めたが、その下の板の止め方・脚の作り方がモンダイだ。

以前作ったミニテーブルのように、下に角材を置いてビス止めし、その角材に沿って脚をつければ簡単なのだが、それではあまりに簡易的すぎて厨子とのバランスがとれない。

そこでヤマザクラの枝丸太を皮付きのまま、前脚2本に使うことを思いついた。これは存在感が強烈である。が、天板との接合をどうするか?

閃いたのは以前の餅つきで作った石臼台座の「井桁組み」である。木目のいい鴨居用の長材(断面30×40mm)が残っている。それを井桁に組んで接合部の芯に丸太の芯を合わせダボ止めする。これなら見た目も美しいし、祭壇としての象徴性が出せるのではないか。

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厨子の実寸から段ボールで原物大を作り、テーブル全体の寸法と設置位置を出していく。窓や隣の机との距離感、天板の高さと出幅・・・このアトリエのようにシンプルな箱では、家具の大きさや位置が空間を大きく変えてしまう。この作業はとても重要である。

最後は、やはり図面を描く必要がある。図面を描くことで見えてくるものがあるのだ。後ろの脚は壁付けにして、ほぞで井桁をはめ込むことにした。ヤマザクラの脚がピン接合なので後部でしっかり固めたいのである。

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天板に愛工房のスギ(尾鷲産)30mm厚・150mm幅を、4枚を使う。1枚は5cm幅にカット。全体で500mmの奥行き、幅は900mmになる。前面に出る凸部はカットして鉋がけしておく。ロットで取ったフローリング材の中で、棟梁によってはじかれた部材なので木目や節模様がよくないものが残っている。その中でもいい部分を組み合わせて木取りしていく。

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この時点では900mm幅よりも大きめに切っておき、材どうしをくっつけたら裏返して小幅板とクギで仮止めしておく。

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こうしてから両耳を正確に電動ノコでカットすると、天板にしたとき直線のシャープさが出る。板の枚数が多いときはとくにそうである。しかし愛工房の尾鷲材は油分が多いせいか赤身が見事である。

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コードの穴を加工しておく。

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井桁に組む材は精度を高めたいのでのこ引き定規を使って手ノコで切る。

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木工はまず

1)正確なスミ入れ(寸法線を材木に引く)

次いで

2)スミ線を正確に加工する(ノコやノミで切る・削る)

ことが重要だが、鉛筆で引いた寸法線の真ん中を切るのか裾を切るのかで実寸が微妙に変わってしまう。ノコ目の幅があるからだ。下の写真は鉛筆線の右裾を切っている。左が使う材で右が切り落とす材だからである。

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井桁に組む4枚の板ができた。鴨居材なので節はまったくない。板目が美しい源平(白と赤が出ている材)である。

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これに正確な切り欠きを入れていく。スコヤ(手前)があると便利だ。

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スミ線は2面に入れる。

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ここはスミ線の真ん中を切っていく。ノコ目の垂直かつ直角は必須。

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ノミでカット。底を削りながら微調整。

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仮組してみる。あまりにキツいようならノミで微調整。

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完成。あまりキツキツだと端が割れてしまうので要注意(実はひとつ割ってしまった/ビスで再生した)。

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天板を載せてみる。ちり(天板と井桁小口とのズレ幅)は四方とも10mmとった。天板はビス止めする。

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後ろの板はビスで支持できないのでL字金物を打っておく。

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天板に打つビスの頭を隠すために9mmのダボ穴を開ける。黒いビスを使って意匠的に見せてしまう手もあるが、今回は隠したい。

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愛工房スギの同じ材で「埋木錐(うめぎきり)」を使ってダボ穴に差し込む埋木を作る。

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専用のビットをインパクトドライバーにつけて穴をあけ、硬い棒を差し込んで、付け根をポキッと折る。

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こんな感じに取れる。丸棒を削り出したほうが簡単ではないのか? と思うだろうが、丸棒でやると小口が出て、拭き掃除するたびに埋木が黒く目立つようになる。今回はそうしたくない。

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ビス打ちを終えた穴にボンドで挿入。木目の方向も合わせる。

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はみ出たボンドを濡れティッシュで拭き取って乾くのを待つ。

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その間に後部の脚を作ろう。使うのは間柱や筋交いに使う105×45mm断面のスギ材である、こちらが芯側が出ている「木裏(きうら)」。

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ひっくり返すと表情がちがって節が見えてくる。こちらが樹皮側が出ている「木表(きおもて)」。基本は木表を見せる側に作る(井桁は赤身を見せるために逆使いしている)

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天板と合わせるほぞを作る。

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最近の人は、木目には方向性があって縦に刃を入れると簡単に割れる・・・ということを知らないんだろうな。

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こうして真ん中も削ります。

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完成。

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埋木の接着剤が乾いたのでノコとノミで、天板を傷つけないようツライチに削っていきます。

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ひっくり返して脚を仮組みしてみる。

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ヤマザクラの枝はかたくしぼった雑巾で拭き上げ、さらに乾いたタオルで研磨すると光沢が出てくる。きれいな円筒形ではなく曲がりやデコボコがあるので、正確に脚の高さを揃えるのが難しいが、過去記事「丸太を刻む」でやったように、紙を丸めてアタリをつけながら手ノコで切る。そして太めのアルミの針金でダボ栓を作って、中央にドリルで穴を開けてから刺しておき・・・

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井桁の組み部の中央にも同じ穴を開けておく。

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ここで作業場から2階に上げて仮置き。後部の脚は壁内部のバラ板(下地材として30cmピッチで打ってある小幅板)にビス打ちで止める。前脚はまず角材1本を引っ掛けておく。

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そうしてヤマザクラのダボを潜り込ませる。すべてが水平に揃っているわけではないが、高さはいっぱつで決まった。

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ヤマザクラ脚の下部は、裏側からスリムビスで斜め打ちして止める。1本で十分。

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下から接合部を見たところ。

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後部左脚のコンセント穴。幅木の出幅、5mm分も削ってある。

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インド綿を裏から鋲で止めて完成。とりあえず収納はこの布地をめくって仕舞うが、内部に突っ張り棒を仕込んでカーテンにもできるだろう。井桁の材に高さがある(105mm)ので布下がりがきれいに見える。

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垂らす布の種類によって雰囲気はだいぶ変わると思うがが、この布はヤマザクラの素材を引き立たせるにぴったりではないだろうか。

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さて厨子を載せて似合ってくれるかどうか・・・。


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