DIYの雑誌『ドゥーパ!』から取材が来る。古民家の改装の特集号で、わがアトリエの改装具合と暮らしぶりを撮りたいという。んん、だいじょうぶかなぁ、と一瞬躊躇した。古民家の改装といえば、贅をつくして移築改装する完成品の例がよく雑誌に載っているが、
「これってちょっと違うよなぁ」
と、僕らは思っていたのだ。ぱっと見、おしゃれな都会人ウケするような写真ばかりで、当然のことながらたいがいオーナーはお金持ち。一見簡素に見えて、実はかなり贅沢である。
それは下男下女を使った昔の「庄屋様」の暮らし、あるいはヨーロッパ貴族の暮らしに似ている。山に連結し、生活と一体化したものが感じられないのだ。
ところが、山に連結した暮らしを連綿と続けている地元の人は、実際は限りなく都会に近づこうとする暮らしをしている。囲炉裏を封印し、ビニールクロスも合板も使うし、花柄の電化製品に溢れている。絵にならないのだ。
このギャップは見ていて面白いが、互いに学ぶ交差がないように思われる。