過去にない豪雨
今回の台風9号についてネットでいろいろ調べてみた。その雨量、群馬県県議会議員である関口茂樹氏のブログに数字があったのでそれを写してみる。わがアトリエのある藤岡市旧鬼石地区では400ミリ弱(4日夜から7日未明)。これは過去に聞いたことのない破格の雨量だそうだ。ところが、お隣の神流町ではなんと800ミリ。これは1年間の総雨量の半分に相当する。それだけの雨が、今回の台風1回で降ったということだ。
ブログをみて同じ藤岡市の鮎川沿いに住むIさんからお見舞いの電話をもらったが、鮎川はなんと水位上昇が5メートルにも達したという。この上流の上日野地区の、9月5日から7日の3日間の総雨量は622ミリ(藤岡市街地では207ミリ。山間部の雨がいかに強力か、ということがよくわかる)。過去最高記録が昭和57年と平成14年に記録した240ミリだから、今回は約3倍の雨が降ったことになる。長年地区に住むお年寄りの話でも「今回のような大雨は初めて」とのこと。
9月12日付の『産経新聞』では11日現在のまとめで群馬県内の「林業被害は16億円」。被害の中心は甘楽町や下仁田町の西毛地区で、林地の倒壊・土砂崩れが64カ所で、林道でも土砂崩れや崩落が98カ所で起きた(同新聞)。調べが進めば被害はもっと増えるだろう。
伊勢神宮宮域林の場合
これまでさんざん間伐遅れの人工林の危機を叫び続けてきたが、その弱さを露呈してしまったということか。こんな異常な雨なら仕方がないって? ちょっと待った。僕が何度か取材に行きブログにその報告を書いている三重県の伊勢神宮宮域林では、日雨量400ミリ(平成3年)を超えた記録があるのだが、洪水もないし山はびくともしていないんだぜ!。
同地域で大正7年、日雨量350ミリ(朝熊山雨量計)という記録があるが、そのときは伊勢の町が大洪水をおこしている。江戸時代のお伊勢参りの後遺症で、当時の宮域林は禿げ山状態になっていたらしい。その後、半分は自然林を復活(ただ放置しただけ)、半分はヒノキを人工林を強度間(鋸谷式とほぼ同じ密度管理)して現在の針広混交林を仕立てた。
それは、20年に一度の伊勢神宮の遷宮(社殿を作り替える神的行事)で必要な木材を得るための、国家的なプロジェクトだった。造営に使える太いヒノキを早く得たい。そのためには強度間伐。空間に生えた広葉樹は伐らずに残す。強度に間伐するというのは、せっかく植えた木を伐り捨てて思い切り空間を空けるということ。当時としてはかなり斬新な手法だったのではあるまいか。
だが、結果的に災害に強い山ができた。日本の人工林は、上手く間伐するだけで、すばらしい環境林をも同時に創出できるという最高の見本であろう。
椎茸のホダ木発見!
さて、前日。わがH集落のその後、復旧作業が行なわれた。まずは埋まってしまった沢の土砂をバックホーで浚渫。この土砂の多くは、アトリエ敷地に隣接する沢の山肌が崩れたときのもの。
水源の中間タンクは無事だったんだけど、ワサビはほとんど流れちゃったんだよね。ここは以前、三波石(庭石として珍重される名石で、旧鬼石町の産業にもなっている)を採りに重機が荒らした所らしいんだ。だから、ガレ場になっていて広葉樹の生えが悪い場所だった。
採った土砂を2トントラック3杯で、ようやく暗渠(ヒューム管)に水が通った。
実は、この作業を僕と相方YKは固唾をのんで見守っていたのだ。なぜなら、沢沿いに置いておいたシイタケのホダ木が流されてしまったからだ。このヒューム館を詰めた土砂の中に、そのホダ木があるのでは? と。やっぱりあったぜ! 2本だけ出てきました(笑)。皮がハゲちゃったけど、このピンの跡が証拠だぜ。
ところで、ふと見上げればこの工事中にも上空にケムトレイルの雲。やってくれますなー。
台風あとのスプラウト
おまけ。ブロッコリーのタネを採取した残りの茎を、薪置き場の上に放っぽいておいたのだが、今回の台風で水びたし。そして雨上がりに発芽しているのだった。ようするに貝割れ大根状のモヤシですね。ところが、最近スーパーで「ブロッコリー・スプラウト」が売っているのを発見して驚いた。なんでも、発ガン抑制物質があるらしい。食べてみるとけっこう美味い。ウチの自然農畑では春先に大量の菜の花がタネをつけるので、来年はタネを大量採取してスプラウトを食ってやるか。