ここに来てめちゃ寒くなってきたが、僕らは今シーズン、なんとまだマッキー君(カマド兼薪ストーブ)に火を入れていない。囲炉裏のほうが薪の消費量がだんぜん少ないし、料理には便利だし、これで十分暖かいからである。いや、僕の座る位置は下窓を空けたこともあってすき間風もあって背中は寒いが、綿入れのベスト(袖無し半纏)と腰に毛布をあてていれば十分寒さはしのげる。板の間でなく畳にしたのは、防寒の点では大正解だった。
カテゴリー: 薪と火
囲炉裏と柚子
相方が柚子をどっさり摘んできた。皮の干し物や、ジャムをつくったりするというので、いろいろさばいていた。僕は蔵書のなかで柚子の記述がある中共文庫『料理歳時記』(辰巳浜子著)を思い出し、柚子の項を見た。そしたら、本当の柚子味噌というのは、柚子をまるのまま酒と味醂で2~3日もかけて、火鉢のとろ火で煮てつくるものだと知った。さっそくそのつくり方でやってみる。結果はまた後で。
囲炉裏を使い始めてそろそろ一ヶ月。もう面白くてやめられない。どうしてこんなすばらしいシステムを日本人はあっさり捨ててしまったのだろうか? 驚くのは薪の消費量が減ったこと。一日じゅう燃やしていても薪の減りは少ない。薪ストーブは薪を放り込むかたちで薪全体が燃えていく。ところが囲炉裏は、薪を小口(先端/片側)からじわじわ燃すことで、燃え尽きるスピードが極端に遅くなる。そして、細い枝などが役に立つこともすばらしい。
当然、炎は薪ストーブに比べて小さい。しかし裸火で、低い位置で燃えているために全体に暖かい。この気持ちのいい暖かさは、石油ストーブの不快な暖かさの対極にあるものだ。石油はクサイが、囲炉裏は芳しい。煙かろうが灰まみれになろうが、僕らはもう囲炉裏のすばらしい効果と雰囲気、その経済性にぞっこんなのだ。
囲炉裏と縄文土器
「群馬の森」にある県立歴史博物館へ行った。僕らはここに来て一年ちょっと。車を利用して県内をかなり動き回り、なんとなく、上州というものの輪郭がわかりかけてきた。そんなタイミングで、この常設展示を見ることができ、とても面白かった。
すぐ入り口に囲炉裏の展示があった。そして順路は先史時代からぐるりと昭和まで回るようになっているのだが、僕らは間違って逆回りをしていた。
その後、新品石臼を探してホームセンターをいろいろ見る。でも、石臼は店内では「ウチはこんな本格的なものを置いてますよ」的な、「客呼びの商品」の置き方をされているようで悲しい。
囲炉裏といい、石臼といい、僕らは懐古趣味的なものではなくて、「新たな縄文」をかたち創る実質的なイメージを考えている。WEBをさらってみると、そんな人がまったくいない。しかし、ホンモノはパソコンなんかやっていないのかもな。
群馬で出土した縄文土器がたくさん展示してあった。囲炉裏の灰に埋め、熾き炭を活用して使っていたと思われる形態が面白い。自分で囲炉裏を使っていると、縄文人の気持ちがよくわかる。
小イモ串刺し焼き
仕事打ち合わせの電話が来た。ななくさの個展がきっかけで、埼玉県主催の林業系のイベントでSHIZUKUが歌うことになったのだ。場所は川越市民会館。1200人入るホールだ。詳細はまた後で。
囲炉裏と灰と山林と
一日囲炉裏を燃やしながら、あれこれ実験したりする。僕も寄稿している『現代農業』最新号の灰特集がなかなか面白い。囲炉裏を使うと毎日灰まみれになるが、この灰というやつなかなかのスグレモノで、健康にも役立つらしい。灰というのは有機物が燃えてミネラル成分が残ったものだ。また、煙の中にも気化しやすいミネラルが含まれているという。灰を使った「あくまき」という郷土料理を鹿児島で食べたことがあるが、これは灰の成分を利用した健康食だという。灰を入れた入浴剤は疲れ知らずの身体を作るという。ということは、囲炉裏の灰まみれ生活は、なんと健康法にもなるではないか!