ここに来てめちゃ寒くなってきたが、僕らは今シーズン、なんとまだマッキー君(カマド兼薪ストーブ)に火を入れていない。囲炉裏のほうが薪の消費量がだんぜん少ないし、料理には便利だし、これで十分暖かいからである。いや、僕の座る位置は下窓を空けたこともあってすき間風もあって背中は寒いが、綿入れのベスト(袖無し半纏)と腰に毛布をあてていれば十分寒さはしのげる。板の間でなく畳にしたのは、防寒の点では大正解だった。
なにより囲炉裏は強火から熾き火、ホタル火に近い保温にいたるまで、様々な火力が料理に使えるのが魅力なのだ。たとえば上の写真は、中央の吊るしカギに大鍋で湯を沸かし(薪による直火)、隣のゴトクに製作中の柚子味噌の鍋をかけ(下には熾き炭/隣でできたものを移動)、手前には昨日の食べ残りおでんの入った鍋が灰の上にじか置きされ保温中である。もちろん焼き網や竹串を使った焼き物もでき、それは薪火や炭焼きゆえ最高に美味しい。
ところで囲炉裏で使う小道具に欠かせないのが「火吹き竹」。これは2階に眠っていた古い竹で作ったが、Y先生からいただいた青竹もいろいろ使って小道具をつくっている。半年ほど前のことだろうか、敷地を散歩しているとキジバトの死骸が見つかったので、羽だけをいただいて埋葬した。その羽が乾燥したので、小さな羽箒を二つ作った。一つは囲炉裏部屋の灰を掃除するもの、もう一つ囲炉裏部屋でパソコンを打つときのホコリ払いである。
竹は実際に割って削って使ってみると本当にすばらしい素材である。竹で様々な日用品を作ってきた歴史を、日本人はこれまたあっさり棄ててしまった。かくして荒廃竹林もまた蔓延している。囲炉裏端で竹や木の細工をやるのは楽しい。削って出てくるゴミは、みな囲炉裏に放り込んで燃やしてしまえばいい。アトリエの囲炉裏の枠は銘木でもなんでもなく、タダの廃材だから刀傷がついても気にならず、取り外しができるので、灰ホコリは羽箒でささっと囲炉裏の中に戻すことができて便利だ。
「火吹き竹」の隣に写っているのは「灰ならし」だが、これはホームセンターに売っている小さな灰かき用ショベルを自分でヤスリをかけてギザギザをつけたものだ。これで石庭風に灰に模様をつけて遊ぶのも楽しい。
今日は昨日のおでんを煮返し、そのその汁で釜揚げうどんを食べた。薬味はネギとショウガのすりおろし。釜揚げはショウガが合う。食べ際にホウレンソウも投入する。生で食べれるほどアクがないので平気なのである。