連載終了


前日から『現代農業』連載の本描きにかかる。しかしまあ毎回毎回、なんと手の込んだイラストだ(笑)。編集部でOKのでた下書きラフをじわじわ本描き用に細部まで仕上げ(この時点で下描きの紙は消しゴム跡でボロボロ)、それをライトボックスで水彩紙に鉛筆でトレース。水彩紙に直接下書きしないのは、厳密な線や手書き文字を含むイラストなので、描いては消しという繰り返し作業を水彩紙に落としたくないからだ。

下書きを正確にトレースされた線を練りゴムで淡く消し、ペンの線で仕上げていく。下書きの線が正確だからといって、その上をペンでなぞれば絵ができ上がるかというと決してそうじゃないのが絵の恐ろしいところなのだ。下書きの淡い線をたよりにしながらも、ここはゼロからモノを描く気持ちでいく。鉛筆の線に甘えると失敗する。水彩ペンの0.05ミリ、0.1ミリの2本を使い分け、微妙なタッチで線に強弱をつけることを忘れない。

連載イラストの中には丸や楕円のシャープな線が求められることがままある。手描きで正確に描くのは難しいのでここは楕円定規や雲定規を使う。定規を使ってシャープな線をみせることで、人物などのジャギーな線がひきたってくる。全体としてメリハリが出、豊かな印象になってくる。これが線のマジックだ。が、この定規の使い方がまた、非常に職人的で難しいのだ。

この楕円定規も2~3枚持っていればいいかというと、とんでもないのだ。僕が持っているのは、東京神田にある「タニー商会」というところで買った楕円定規セットで、楕円角15度から5度ごとに60度まで(35度だけは5枚)、楕円幅4mmから80mmまで、1mmごとに(10mmまでは0.5mmごと)各4枚と、合計で41枚もある。

middle_1136981969

“連載終了” の続きを読む


笠間と結城


前日、水戸への途中、笠間に立ち寄って「茨城県陶芸美術館」で板谷波山(いたや・はざん1879~1953)の作品を見たのを書き忘れた。植物のモチーフの彫り模様を施した気品ある白磁や彩磁の花瓶がすばらしく圧倒された。

朝、水戸の編集者Sさんといつものファミレスで打ち合わせ。年度内におさめる筑波山周辺のイラストマップを引き受けることになりあわただしい。再来週は取材にまた水戸から県南に行くことになりそうだ。

Sさんとのイラストマップの仕事も長い。僕らは一般のお手軽なイラストマップの手法とちがい、現地踏査や入念な構成を経て何倍もの手間をかけ、これまで様々な絵地図を送り出してきた。この茨城の自然と風土のすばらしを、高らかに歌い上げるべく手法をこらしてきたつもりだ。が、いかんせん様々な障害があり、納得のいく仕事になったと言えないものも多い。また、著作権買い取りなので、作品を再版できなかったり、ネームが入らないので内容を剽窃されたりもして、何度か悔しい思いをしてきた。ところが、さすがに努力が評価されてきたのかSさんにタイムリーな連載の話が来ているという。将来は出版物になれば、それが最も実りある完成だ。楽しみである。

その後、弘道館を見、旧県庁の観光コーナーで資料を入手して結城へ。結城つむぎをぜひ見たいという相方のたっての希望だった。結城つむぎは絹糸の紡ぎ方から糸の染色、原始的ないざり織りという手法から、すべてが機械化ができない手のかかる織物である。しかし、結城にはまだまだ織り手がいて、資料館などを個人が開いていたりする。ギャラリーものぞいてきた。古い建物がまだ現役で機能している風景がよかった。


だるま市


『現代農業』のラフの修正が出て、朝から仕事モード。FAXしてようやくOKが出て、夕刻からコペンでお出かけ。高崎だるま市の初体験。人も出店も多かったけど、どうもだるまに願掛けするというご利益信仰がいただけない。それにきちんとお金のランクがある、という商売になっているところも悲しい。結局は買わず、広島風お好み焼きを1枚食べて帰還。秩父夜祭りといい、だるま市といい、本質の上質な部分は消えてしまい、欲望の渦とテキ屋ランドと化してしまっているかのようだ。いまの神社やお寺っていったい何なのだろう?

takadaru


保己一生家にて


愛車コペンの6ヶ月点検の日。と、出発準備していると早朝から電話あり。先月個展をご一緒したY先生の奥様からだった。いま奥様は「ららん藤岡・花の交流館」にて4回目の写真展を開催中なのだが、その紹介記事が写真入りで『上毛新聞』に載ったとのことだった。

ご夫妻は神流川流域、藤岡市だけでなく県内に広い人脈を持っておられる。今回の展覧会は正月の4日まで行なわれるということで、この新聞掲載を機会に様々な方々が訪れるだろう。ということで、藤岡から(先生ご夫妻は藤岡にマンンションも借りている)H集落の自宅までいろいろ物を取りにくる途中という。

middle_1135772090

“保己一生家にて” の続きを読む


ボロを着る暖かさ


僕の定番スタイルは昔からジーンズにダンガリーシャツ。またはチノパンやコーデュロイ。寒いときはその上にダウンベストとかセーターとか着るわけだ。この定番、着続けてはボロになり、何代も交代されている。しかし、着古して穴が空いても、愛着のある衣類をゴミ箱に棄てるのはしのびないものだ。そこでアトリエに来て以来、そのボロを棄てずに相方に繕ってもらい、できるだけ長く着続けられるようにした。

middle_1135086043

“ボロを着る暖かさ” の続きを読む