そば粉の味


午前中、藤岡のIさんが遊びに来たので、囲炉裏にあたってもらい昨日挽いたそば粉でパンケーキを作ってみた。そば粉に水を入れてゆるく練ったものを、フライパンで焼いたものだ。畑で初めて収穫したそば粉、しかも石臼挽き。ウマイ! 甘み、こく、香りがそろっている。こりゃそば打ちをおぼえなければ!

middle_1134782897

middle_1134782992

饅頭、ケーキやパンなどの「粉食文化」は、自分で無農薬栽培して石臼挽きたてを味わったとき、それを山の水と薪の火で焼いたとき、まったく別物に変わってしまうのではなかろうか? 調理のさい、砂糖の使用量が激減するはずである。また、なにも入れなくても十分美味しいので、料理がシンプルになっていく。

Iさんが万場の鍛冶屋に用事があるというので、僕らも一緒におじゃました。万場には野鍛冶がまだ2件残っていて、カスタムナイフなどで全国的にかなり有名になっている「天野」さんの他に、看板を上げていないで実質な道具類を打ち続けるところがもう一軒あるという話は以前から聞いていた。そこもいい腕だが値段はずっと安い、という話だった。

注文品もないのにそこにおじゃまするのは気が引けていたのだが、ちょうどいい機会だった。Iさんは、スコップの要領で突き刺してから山側に土を返すのに便利な特殊鍬を持って来て、アトリエの畑で実演してみせてくれたが、その鍬先もここで打ってもらったとのことだった。

僕らは山仕事だけでなく、畑もやり、料理もつくる。毎日のように刃物や農具を使う生活であり、古民家の改装にも鉄金具を使いたいと思うことがある。ご主人は山遊びも詳しいようでH集落にもよく出かけているようだった。ところで、僕のことは「ああ、あの選挙ポスターの絵を描いた人かい」ということで、この界隈ではすぐバレてしまうようだ。

その後、中里の図書館に立ち寄り民家の本を読む(ここは建築写真集がたくさん置いてある)。神流川流域の風土にそぐわないコンクリートとガラスの建築だが、あんのじょう「寒い!」。 この一階のホールではとても本など読んでいられない。閲覧者は僕らだけだ。

middle_1134783081

middle_1134783123

お次に恐竜の施設で蕎麦を食べる。ここもコンクリートの建物だが内装にはスギが使ってある。でも床は打ちっぱなしがむき出し。お客は僕らの他にあとから一人だけ。そこに石油ストーブが燃えている。上野村を通る。上野村にもコンクリート打ちっぱなし+ガラス建築の豪華な施設があるが、どこでも平日はがら空きである。山越えして下仁田へ。富岡の「群馬県立自然史博物館」を観る。ここもまたバブル期に建てられただけあって、ものすごい豪華な施設だ。広い展示空間だが中は暖かい。どれほどの暖房と照明費用をかけているのだろうか。

でも、お客は僕らだけ。閉館ぎりぎりまで展示を見て、出ようとすると出口に係のお姉さんが5人もいて、僕らにお辞儀して見送ってくれた。このような「箱モノ」を見ると、ついつい建設費用と、中の従業員の給料と高熱費などの維持コストを考えてしまうのだ。本当に、日本全国こんなことでいいのだろうか?


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください