田中正造の遺したもの


かすみがうら町、真壁と再取材し、栃木の佐野市郷土博物館に寄った。足尾鉱毒事件に立ち向かった田中正造に関する常設展示があるというので期待して入ったが、結局「彼が何をやったか」という案内しかなく、その動機となった事実の説明がほとんどない。なんだか田中正造の「魂」の部分が骨抜きにされているようで正直がっかり。だから、日本は変われないんだろうな。足尾のような自然と人との関係を引き裂く残虐なことが、いまは深く潜航しながら、巧妙に行なわれているだけだ。

帰りぎわ、群馬に戻って太田市でEという店を見つけて入ってみた。水戸でみた巨大なショッピングセンターとほぼ同じ形式で、駐車場まで含めると気の遠くなるような広大な面積だ。しかも1階の食料品売り場はなんと24時間営業。恐ろしいのはこのグループが「木を植えています/私たちはEです」などと環境系の装いを前面にアピールしていることだ。

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霞ヶ浦は今・・・


マップの取材で茨城に来ている。かすみがうら市の周辺で霞ヶ浦を間近に見る。茨城生まれの僕だが、霞ヶ浦をまじまじと眺めるのは初めてのことだった。その汚さに驚いた。薄茶色に濁っている。そして臭かった。いつもこんな風だ、という。が、もちろん昔はこうではなかった。案内してくれた方は「昔ここで泳いだことがある」と言った。透明と呼ぶまではいかないけれど、普通の川のような水色だった。そしてシジミがたくさん採れたそうだ。また、大きな二枚貝もいて、それを切り干しダイコンと一緒に煮たものが家庭のおかずになっていたという。わずか40年前のことである。

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猪ノ田温泉、ムササビ発見!


イラストマップの仕事にかかっている。午後になって「今日はどうしても温泉に入りたい!」というわけで猪ノ田温泉「絹の湯」へ。藤岡の山間部にあり、地図上ならアトリエから直線距離で5kmくらい。でも車道がないので藤岡の町まで降りてぐるっと回らねばならない。この途中に「金井の湯」というのもあるが、新規開拓をめざして、初めて行ってみたのである。こぢんまりした温泉宿。ヒノキの浴槽でお湯もなかなか良かった。掛け流しではなく循環で殺菌もしているが、塩素臭は感じない。入浴料も500円と安い。

温泉に入った夜は身体が芯まで温まり、寒いアトリエに戻ってもその感触がとぎれることなく、夜は本当にぐっすり眠れる。また、その日の眠りに汗をかくことが多い。身体の新陳代謝が活発になるらしい。絹の湯は明治時代からやっているというから最近のボーリングで湧出させたものではないらしい。強アルカリなのでわき水で希釈しているそうだ。

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草月会館、イサム・ノグチ


早朝に川越のホテルを出て高速に乗り大田区大森の叔父のマンションへ。ジャガイモや干し柿を届けにいく。母方の祖父母の位牌はここにある。久しぶりにお線香をあげることができた。

第一京浜で秋葉原へ。駅前がどんな風に変わったか、そのオタク度などを実際に見たいと思ったのだ。巨大なガラス建築群がすごい。そういえば品川にもガラス建築群ができていた。このCO2削減の時代にあまりに逆行しているこの開発とガラス建築の嵐、何なのだろうか?

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午後は赤坂の農文協で連載や単行本の打ち合わせ。帰りに近所の草月会館に行く。イサム・ノグチの石庭が見たいと、相方のたっての希望だった。 会館の一階ホールにあるこの空間、石と木の使い方、石と水の流れの扱い、その流れは静謐なのだけど、全体の印象はまるで「都会の中の渓流」だ(財団の管理で写真撮影禁止なのは残念だ)。3日の旅の最後の珠玉の点のように、その作品「天国」を目に焼き付けて、アトリエへ帰還(青梅~秩父まわりで)。

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草月会館の設計は丹下健三。


ひたち野


水戸の常宿が満杯で、今回は駅南のTというビジネスホテルに泊まった。この宿も安い。しかも高速ネットがつながるので調べものに重宝する。が、周囲に飲み屋がないのがネックだナ。早朝、ホテルサービスの朝食(おにぎりと漬け物と味噌汁/無料)を食べ、取材先に向かった。

今回のイラストマップの場所は筑波周辺の市町村で全5カ所。そのひとつの真壁町に向かう。ここは知られざる古民家の宝庫で、登録有形文化財の建物が100棟以上ある。古くから商業の町で、母屋だけでなく、蔵、門のすばらしいものがある。そこを縦横に歩き回り、写真を撮りまくった。

その後、再び筑波山へ。コペンのカーナビを、加波山との鞍部を越えるルートにセットした。さて時間は昼。どこで食べようか・・・と探しながら進んでいくと、「合掌造りのレストラン」という小さな看板を相方が発見した。それに導かれたどり着いたのはレストラン「ひたち野」。 “ひたち野” の続きを読む