2日目、家の中の土間に石をサークル状に並べた地炉があり、さっそく火を焚かせてもらい、その具合を確かめた。
右手は道路のコンクリート擁壁になっており、まだ建て具がなく解放空間。
上部は天井板を三筋分取り去ってあり、茅葺屋根へと煙は登っていく。屋根は入母屋で棟に煙抜きがついている。今日はここから自在カギを下ろして囲炉裏の雰囲気を作ってみたい。
昨日割った丸太は囲炉裏のイスやミニテーブルになっている。今日は参加者は少なめなのでみっちりとチェーンソーのメンテや竹細工を教える。
昼食は瀬戸内海の海の幸をつかった手巻き寿司だった。サワラやアナゴが美味しくてもりもり食べる!
午後、いよいよ自在カギ作り。竹が足りなくなったのですぐ裏の山に伐りに行く。ついでにSさんが風の草刈りのレクチャー。
ここは手付かずの薮を地際の草刈りで管理していた敷地。風の草刈りに変えてから野草の花が目立ち始めた。ノコンギクは以前はまったく生えていなかったそうだ。
セイタカアワダチソウも穏やかな表情をしている。
風の草刈り→高刈りによって成長点が切られるため、直上が抑えられ脇芽がたくさん出る。地中の空気通しが良くなると細根が出て成長が穏やかになる。そのために柔らかに見えるのだ
皆に指示を出して自在カギをのパーツを手分けして作ってもらった。
自在カギの上部の吊るす部分は竹の節の下に穴を開けて木を貫通させ、そこにヒモ止めすると竹が偏(かたよ)らないで見た目も美しい
オーナーのSさんには自在カギの心臓部である「横木」に手を貸してもらう。廃材の中から肥松の板を見つけて、ジグソーやドリルを駆使して魚型に作る。
竹の中に入る心棒は古民家の土壁を壊したときに出た広葉樹の枝、それにスレンレスの衣紋掛けをねじ止め。魚型の横木に穴を開けてそこに棒を通し、横木の尻尾のくびれにロープをかけて竹筒に結ぶ。
天井に板をかけてそれを支点に完成した自在カギを吊るし、皆が固唾を飲んで見守る中、点火。
わお〜、やっぱり自在カギが入るとぜんぜん変わるね!
炉が温まると煙の出が少なくなり、安定する。自在カギによって丸鍋を置くことで、炎の熱がここで分散され、周囲に熱をふりまく。さらに上部に火棚を置くことで囲炉裏は完成される。
囲炉裏の傍で竹細工。囲炉裏端でのものづくりは落ち着いて集中でき、いいものだ。アイヌは大きな囲炉裏を中心に置いた「チセ」の囲炉裏端で、夜や雨雪の日は常に物づくりをしていた。
竹細工を趣味とする彼女の手によってスルスルと美しい六つ目編みができていく。
僕がイベントでよくやる竹細工は簡単な台所の日常品づくりである。まず竹割り・竹こしらえの基本を覚えて、節の部分をアクセントに残した「竹串」から始める。竹串といっても様々なサイズや形があっていいのだし、実際にそのほうが便利だし美しいのである。しかも強度もあって洗いながら繰り返し使える。さらに味噌漉しベラやバターナイフ、上級編としておろし金用のスクレイパー(おろし筅)を作る。
Sさんが火棚の完成まで持っていきたそうなので、素材選びと採寸を手伝う。全部ビス留めでは味気ないので、コーナは切り欠きを入れて井桁に組む。とり急ぎ番線を使って吊ってみた。針金は高さの調整がすぐにできるので便利である。
あとは「弁慶」があれば完璧なのだが・・・さすがに時間切れだった。弁慶とは?山里暮らしのときに作った過去ログがあるのでそれを貼っておこう。
こうして2日間の「山暮らし講座」は盛況のうちに終了した。再び瀬戸大橋を渡って帰る。次回は僕のアトリエの見学会になりそう雰囲気だった(笑)。おでんが美味しい季節に、囲炉裏暖炉と木の家を見にぜひお越しくださいませ♬