マップ完成


午後から仕事の最終仕上げに入る。

僕のマップは河川と田畑など土地利用も色分けするので塗りにも手間がかかる。あらかじめ相方に色分けの下図を作ってもらっていたものを参考に、水彩で色を置いていくのだが、これも一色の色をただ塗ればいいというものではないのだ。マスキングシートやマスケットインクでマスキングした後、道路やカットに色を置かないように微妙な筆使いでしかも素早く描いていく。

このマスキングもやる場所とやらない場所があるのもコダワリなのであるが、手間の結果としてPCでは絶対に出せない、柔らかく深い味わいが生まれる。今回はカットに鉛筆線を使ったので、いつもの方法で絵が弱くならないか? 試験的に描いたものをPCに取り込んで試しながら塗り始める。

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総会へ


イラストマップの本描きが片付かない。そのうちに集落の定期総会の日がやってきてしまった。どんなに忙しくても、この日ばかりは出ないわけにはいかない。午後から会場の分校跡の建物へ。今回、鬼石町が藤岡市に合併することで、いろいろと決まり事が変わったりする。人事の取り決め、そして会計報告があって終了後は宴会となる。

今回、相方が会計の書類を手伝ったこともあってか、イタルさんがわざわざブランド焼酎を1本別口で買ってきてくれ、宴席でがんがん注がれてしまう。仕事で寝不足の上に(この日も昼までみっちり格闘してたのだ)、昼から茶碗で濃いめの焼酎のお湯割り。うーん効く効く・・・。しかし、ここぞとばかりさりげなく山村ネタ取材にまわるのであった。

夕刻、イタルさんとは義兄弟にあたる同じ集落のSさん宅によばれる。薪ストーブにあたりながら、また焼酎。初めて訪れたSさん宅はアトリエとほとんど同じ造り。なんと大工さんが同じ人なんだそうだ。今年84歳のSさんは、イタルさんの農作業の手伝いにやってきたときに何度か僕らと接触していた。しかし、敷地の薪の量とその積み方に圧倒される思いだ。なんというか、現役の山村人の佇まいには有無を言わさぬ迫力を感じるのである。

「酒はあるんだ。いつでも遊びにきな」そうSさんは何度も僕らに言って、おだやかに笑った。


仕事中


イラストマップ本描きの仕事が佳境に入る。仮眠してから明け方まで、陶器製の湯たんぽを机の下に置き、腰から下を毛布にくるめて仕事に向かう。明け方、さすがに寒くなり、囲炉裏をおこして暖をとりつつ湯を沸かし、コーヒーを飲み、湯たんぽに湯を入れ替えて再び仕事机に向かう。アトリエはまだ机とかイスとか照明なんかがベストの状態ではないのでいろいろ面倒ではある。囲炉裏の煙は原画仕事には禁物(白い紙がセピア色になっちゃうから)なので、当然のことながら仕事は別の部屋でやっているのだ。

囲炉裏は仕舞に燃え薪を灰の中に埋めておくと熾き火がしばらく保たれる。囲炉裏の火を再開するときには、灰から熾き火を取り出し、細い小枝などをその上に置いて火吹き竹で吹くと簡単に炎が上がる。この、灰の中から赤い熾炭が現れるときの暖かさがなんともいえない。明け方、移植したユズの木を見にいく。葉っぱに元気がない。ちょっと心配だ。周囲にの木々に野鳥がすごく多い。朝食はカツオだし、野菜たっぷりの味噌汁。炊きたてご飯、納豆にワサビの擂りおろしと焼き海苔。納豆を食べたらやっぱり緑茶。そしてまた仕事に突入する。

今回のマップではカットの部分を鉛筆線を生かした彩色でやってみることにした。今回は建築物の絵が多いから、ペンの線だとどうしても黒く重くなりがちである。鉛筆の線は淡くも軽快で、太さも自由自在で、やりようによっては様々な表情が出せる。しかし、鉛筆線はかつて印刷業界では御法度だった。反射しやすいグレーの線描は正確な再現が難しく、ぼやけた絵になってしまうからである。しかし、パソコンのおかげで原画をフォトショップで補正することができ、鉛筆をペンの線描の濃さで表現できるようになった。

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ユズ移植、スギ薪割り


藤岡のIさんが手伝いに来てくれて、温水器の構造チェックや据え付け場所の検討などをやった。午後からかねてから計画中だったユズの木の移植をやる。ちょっと離れた場所にY先生が保有しているミニ果樹園があって、そこにはユズとイチジクが育っている。「どれでも1本あげるから、こっちに植えるといい」とY先生から言われて、僕らはすでに移植するユズを1本選んでいたのだった。

しかし苗植えして20年経過したというユズの木はすでに大人を背丈を超えており。根元は大きなダイコンほどの太さがある。スコップ、トウグワなどを使ってIさんと僕と相方3人で交代で土を掘る。根が伸びているところ剪定ハサミで根切りして作業を続け、2時間ほどでようやく掘り上げる。軽トラに積んで、アトリエ敷地に運ぶのがまた大仕事だった。重い上になにしろユズの木はトゲをもっている。

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棗にて


以前から目星をつけておいた高崎のギャラリーで6月に個展&紙芝居ライブをやることになった。来月はすでに3件の紙芝居ライブを依頼されている。8月にも個展が決まっているので忙しいのだが、これはもう縁なのだ。高崎のギャラリー棗(なつめ)は築130年の蔵を改装した日本茶専門の喫茶店である。群馬に引っ越して高崎に遊びに行ったとき、真っ先に目に入ったのが南銀座通りの石畳界隈で、渋い店が並ぶ中にひときわ目立つ建物だった。

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