マップ完成


午後から仕事の最終仕上げに入る。

僕のマップは河川と田畑など土地利用も色分けするので塗りにも手間がかかる。あらかじめ相方に色分けの下図を作ってもらっていたものを参考に、水彩で色を置いていくのだが、これも一色の色をただ塗ればいいというものではないのだ。マスキングシートやマスケットインクでマスキングした後、道路やカットに色を置かないように微妙な筆使いでしかも素早く描いていく。

このマスキングもやる場所とやらない場所があるのもコダワリなのであるが、手間の結果としてPCでは絶対に出せない、柔らかく深い味わいが生まれる。今回はカットに鉛筆線を使ったので、いつもの方法で絵が弱くならないか? 試験的に描いたものをPCに取り込んで試しながら塗り始める。

明け方にようやく6点の彩色が完成し、PCへの入力作業に入る。原画はスキャナの読み取りサイズよりも大きいので、原画を半分ずづ取り込んでPhotoshopで合成するのだ。が、スキャナの性能がいいぶん、ムダな影を拾ってしまうのでそれを消したり色彩補正したりして、接続部分がわからないようにする。そして別版で描いている手書き文字もスキャナで入力。こちらは白黒でデータを拾い、やはりPhotoshopで黒ベタのデータに変換する。が、ここでも文字のつぶれやかすれが出ているので、全てをチェックしてPhotoshopの「消しゴム」「鉛筆」機能などで修正していく。

イラスト1点に対して2版4スキャンするので、結局6×4で24回のスキャンをかけ、それを合成したものを1点1点画面でチェックして補正していくのだ。こんな気の遠くなるような作業を経て、ようやく「素材」がPCに格納される。そしてこのデータをIllustratorで合成し、原画における絵版と文字版の微妙な版ズレを補正してく。さらに白抜き部分のパーツを合成する。これが全部終わったのは、明け方から始めて夕刻までかかってしまった。しかしまあ、ここまでで仮眠は1時間。ぶっ続けで30時間以上働いているのであった

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こんなデータだからメチャ重く、CD1枚には焼ききれない。結局2枚に焼いて、鬼石町の宅急便の最終集荷19時の締め切りに間に合わず、前橋のヤマト便のセンターまでCopenを走らせようやくデータを発送することができた。ここから先、さらに発注元でデザイン加工やコピー・写真が挿入され、小さな冊子となって作品は旅立っていく。苦労した作者としては、こんな作品だから大事に使ってもらい「残るもの」にしたいと思うのだが、イラストマップの芸術的・社会的な評価はとても低くて、使い捨てされているのが現状である。


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