今年も美味しい雑煮を食べている。餅米は農協に頼んでおいた5kg。それを3回に分けて臼で搗く。5kgというのはこの辺の人たちはひと臼で搗いてしまうらしいが、アトリエには小さな蒸し器しかないしそれをチビかま君で焚くのでしょうがないのだ。それに今年も杵はヒノキの間伐材を削った原始的な棒杵。これで搗くのはかなりハードだが、実に旨い餅ができてしまうのだ。

イラストレーター・著作家、大内正伸のブログ
今年も美味しい雑煮を食べている。餅米は農協に頼んでおいた5kg。それを3回に分けて臼で搗く。5kgというのはこの辺の人たちはひと臼で搗いてしまうらしいが、アトリエには小さな蒸し器しかないしそれをチビかま君で焚くのでしょうがないのだ。それに今年も杵はヒノキの間伐材を削った原始的な棒杵。これで搗くのはかなりハードだが、実に旨い餅ができてしまうのだ。

昨年の秋、アトリエの山の空に、奇妙な飛行機雲をたくさん見た。いや、アトリエだけではなく、群馬や埼玉の小旅行の中でも、しょっちゅうそんな「異常雲」を見ていた。普通、飛行機雲は、暖かいエンジン排気が急冷されて氷の結晶になるもので、空に軌跡を描いた後、すぐに消えてしまう。ところがこのところ、長々と消えない飛行機雲様がよく見られるのだ。
これは、水蒸気ではなく飛行機から何か物質を散布していると考えられる。かなり前から「ケムトレイル」という異常雲の話は聞いていた。日本の上空をワガもの顔に飛べるのは自衛隊か米軍ということになるが、何者かが大規模にある物質(粒子)を空中散布しているというのである。
その雲はやがて広がっていき、地上に非常に細かい粒子が降りてくる。この秋はまるで春の黄砂のような不思議な景色をよく見たものだった。上空は秋晴れなのに、地上近く(いやかなり上の方まで)モヤっているのである。
普通、霧がかかるときは湿っぽくて、地面や車の車体や傘が濡れるものだが、そのモヤは乾燥している。上空は晴れているのに、アトリエの対岸の山が煙っている。自然をずっと観察してきた者には不思議な光景なのだ。春ならともかく、秋にこんなこがあるのだろうか。
ここ数ヶ月で、「ケムトレイル」という単語をネット検索するとかなりヒットするようになった。昨今の危うい異常気象、新ウィルスの跋扈、スギ花粉、電磁波異常、そんなところとこのケムトレイルは関係アリ、と言う人もいる。全国的、いや地球規模の散布らしいのである。
元旦の午前中、上空をみると散布雲の広がりが広い帯を描き、太陽のまわりに傘がみられる。飛行機の音も頻繁に聞かれる。ともあれ、僕がアトリエの庭から昨年撮った、異常雲ーケムトレイルと思われる写真の一部をアップする。

白インゲンの収穫を終え(それにしても昨年に比べてかなり遅れた収穫日であった)、畑にはハクサイ、ブロッコリー、長ネギ、キャベツ、ホウレンソウがあるが、イノシシに何度も撹乱された後のものなので育ちが悪い。
それでもYKがホウレンソウをちぎってきたので生で食べてみる。「旨い!」やっぱり昨年と同じ。まるでリンゴを連想させる含み味、かすかにナッツのようなコク、青菜に特有の苦みはほとんど感じられない。

というわけで薪づくりである。今年伐ろうかと考えていたやや太めのクヌギが敷地にあるのだが、かなり太いフジがからみついている。そのフジは、伐ろうと考えていたクヌギの隣にあるやや小振りのクヌギの根元から立ち上がり、その小振りのクヌギを介して絡み付いている。
すなわち、目的の「やや太めのクヌギ」を伐り倒すためにはフジを伐らねばならず、小振りのクヌギも伐り倒さねばならない。大小のクヌギに架け橋のように絡んだフジは、位置が高くて切断がままならないからである。
ところが、ここでもう一つモンダイがあった。小振りのクヌギの側から立ち上がったフジは、「やや太めのクヌギ」を介してさらに上部にあるシラカシ大樹にも届いているように見えるのだ。この3本を伐ったとしても、シラカシに絡み付いているとすれば倒れない可能性も出てくる。
念のため、「やや太めのクヌギ」に梯子をかけ、牽引のロープをかけておいた。まず大蛇アナコンダのようなフジを根元から切断。そして小クヌギを伐る。案の定、倒れない。そして、ぐっとテンションのかかった「やや太めのクヌギ」を伐りにかかる(危険である)。

木の「伐り旬」というものがある。木材を使う場合、その木をいつ伐り出すか? で、その材の質はずいぶん変わってしまうのだ。木も竹も、材として使うなら伐るのは「秋」が最適といわれている。もっと幅広く表現するなら、お盆過ぎから年内まで。すなわち9~12月、といっていいかと思う。
この時期は木が水を吸い上げない、活動が止まった時期だからで、8月のお盆の時期なんてまだ旺盛に木は水を吸い上げ成長しているんじゃ? とか、1月なんてまだ冬だから伐っても大丈夫では? などと思うかもしれないが、木(植物)は人間の感覚よりも常に季節を先取りしているのだ。
アトリエに来て最初の冬、’05年の1月9日にクヌギの大木を伐った。そのとき、すでに水を吸い上げており、切り口からしずくがポタポタと落ちた話しは前のホームペ-ジにも書いた。
それを仕立てた薪は、やっぱり虫食いが酷かった。1年目の夏、薪置き場にたくさんのカミキリムシが来ていた。キイロトラカミキリが非常に多かった。秋頃から薪の中でカリカリと音がする。中枝などは穴だらけで地面に叩くと折れてしまうほどだった。これには驚いた。
そして薪2年目の今年、第二回目のカミキリムシ様、飛来。産卵を経て、またまた幼虫がいるのであった。ノコギリで薪を切ってみるとまるでレンコンのようになっている。これじゃ薪としての歩留まりは半分以下だ。クヌギは本来、硬い木で、マサカリを跳ね返すほど稠密な材質である。が、穴だらけにされたその穴には、カミキリムシの幼虫の食いカスや糞が詰まっている。薪だってくすぶる。
