Eと八幡


昨年の秋、アトリエの山の空に、奇妙な飛行機雲をたくさん見た。いや、アトリエだけではなく、群馬や埼玉の小旅行の中でも、しょっちゅうそんな「異常雲」を見ていた。普通、飛行機雲は、暖かいエンジン排気が急冷されて氷の結晶になるもので、空に軌跡を描いた後、すぐに消えてしまう。ところがこのところ、長々と消えない飛行機雲様がよく見られるのだ。

これは、水蒸気ではなく飛行機から何か物質を散布していると考えられる。かなり前から「ケムトレイル」という異常雲の話は聞いていた。日本の上空をワガもの顔に飛べるのは自衛隊か米軍ということになるが、何者かが大規模にある物質(粒子)を空中散布しているというのである。

その雲はやがて広がっていき、地上に非常に細かい粒子が降りてくる。この秋はまるで春の黄砂のような不思議な景色をよく見たものだった。上空は秋晴れなのに、地上近く(いやかなり上の方まで)モヤっているのである。

普通、霧がかかるときは湿っぽくて、地面や車の車体や傘が濡れるものだが、そのモヤは乾燥している。上空は晴れているのに、アトリエの対岸の山が煙っている。自然をずっと観察してきた者には不思議な光景なのだ。春ならともかく、秋にこんなこがあるのだろうか。

ここ数ヶ月で、「ケムトレイル」という単語をネット検索するとかなりヒットするようになった。昨今の危うい異常気象、新ウィルスの跋扈、スギ花粉、電磁波異常、そんなところとこのケムトレイルは関係アリ、と言う人もいる。全国的、いや地球規模の散布らしいのである。

元旦の午前中、上空をみると散布雲の広がりが広い帯を描き、太陽のまわりに傘がみられる。飛行機の音も頻繁に聞かれる。ともあれ、僕がアトリエの庭から昨年撮った、異常雲ーケムトレイルと思われる写真の一部をアップする。

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↑これは埼玉でイベントの講師に呼ばれたときに撮ったものだが、この異常な雲に誰一人気づいていない様子。

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その雲と異常な霞みは、高崎にオープンするという例の巨大マーケットEのオープニングの日あたりが最高潮に達した感じで、その現場では間近に見える榛名山が霞みまくっていたのが印象的であった。ミニスカートのお姉さんはもちろんそんな異常空には全然気づいていない様子。

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閑話休題。

で、正月早々、またまたそのEに行ってみたのでした(僕のEと宮脇先生論はこちらの「魂の森とは?」をごらん下さい)。午後1時半、3,000台以上という駐車場はすでに満杯で、かなり車上で待たされた。宮脇昭教授が指揮したという植林跡地には、か細い苗木が稲藁の間からか出ている。すごい密度である。すでに花咲くツバキ系の花もあるが、すでに枯れている苗木もある。

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Eの店内はもちろんゴッタ返していた。めちゃ待たされたので空腹極まり、3階の食堂ホールでラーメンを食べる。しかしこのホール、通路もテーブルも判然としないままま、人がうじゃうじゃ、ごった煮のようになっている。食べているテーブルの側を人がどんどん歩いている。落ち着かないし、埃にまみれ不潔でもある。東南アジアの屋台のような、安堵や慰安が無いのである。

2階のゲームセンターのコーナーに行ってみた。コインを落としてコインを得るゲームに、じい様と孫が群がっている。拳銃で人を殺すゲームや、公道をぶっ飛ばすカーチェイスのゲームなんかを見た。そこに小中学生たちがはまり込んでいる。壁に描かれたサイケデリックなイラストも異様である。

いたたまれなくなって、車に戻ることにした。歩道橋を渡っているとき、植林地帯について、奇妙な現実を発見した。歩道橋の影になる部分にも木が植えられているのだ。将来、木が大きくなったら歩道橋にぶつかってしまう位置にも植えられているのだった。

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Eを出、アトリエに帰還する途中、山名八幡宮に立ち寄った。高崎方面に出かけるとき、いつもそばを通過しながら気になっていた神社だった。立派な社に参拝し、奥の高台に登りつめてみると、そこにはまた別道からの駐車場があり、戦没者の慰霊塔が建てられていた。

その慰霊塔の前には花生けや線香置きがあるにもかかわらず、一本の花も、一本の線香も添えられていないのだった。Eのごった返しの人々と、この閑寂のギャップに戦慄する。

その慰霊塔の側にカラスウリが生っていた。数個を拾った。アトリエ敷地に外来種のアレチウリが繁茂しているので、それを駆逐し、このカラスウリを増やしたいと思っていたところだった。

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山名八幡は今年鎮座830年とのことだった。8と3は神道では重要な数字である。で、僕は3月8日生まれで、なんだか春から縁起がいい。83ーヤミ(闇、病み)転じて38ーミヤ(宮、美弥)と成す・・・。今年は、そんな年にしたいものである。


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