というわけで薪づくりである。今年伐ろうかと考えていたやや太めのクヌギが敷地にあるのだが、かなり太いフジがからみついている。そのフジは、伐ろうと考えていたクヌギの隣にあるやや小振りのクヌギの根元から立ち上がり、その小振りのクヌギを介して絡み付いている。
すなわち、目的の「やや太めのクヌギ」を伐り倒すためにはフジを伐らねばならず、小振りのクヌギも伐り倒さねばならない。大小のクヌギに架け橋のように絡んだフジは、位置が高くて切断がままならないからである。
ところが、ここでもう一つモンダイがあった。小振りのクヌギの側から立ち上がったフジは、「やや太めのクヌギ」を介してさらに上部にあるシラカシ大樹にも届いているように見えるのだ。この3本を伐ったとしても、シラカシに絡み付いているとすれば倒れない可能性も出てくる。
念のため、「やや太めのクヌギ」に梯子をかけ、牽引のロープをかけておいた。まず大蛇アナコンダのようなフジを根元から切断。そして小クヌギを伐る。案の定、倒れない。そして、ぐっとテンションのかかった「やや太めのクヌギ」を伐りにかかる(危険である)。
受け口を浅く入れ、追い口を伐りにかかる。木が動き出して、倒れるかのように見えた。ところが、やっぱり恐れていたことが起こった。シラカシの高枝にフジ蔓がしっかり絡んでクヌギが2本とも斜めになったまま停止したのだった。相方と二人でロープを引くが、さすがにフジはかなりしぶとい。
仕方なく、またしても危険な「ダルマ落とし」で採取できる材だけ伐り出してしまうことにする。単純な掛かり木ではなく、斜めに停止した倒木の先端は、蔓によって逆方向に引かれているので、重心がどちらに転けるか考えながらの作業。(かなり危険である)ようやく数本の玉を落としたクヌギは、空中にぶら下がる形になったのだった。
クヌギに絡んでいるフジ蔓は3本。絡んだ先のシラカシの高枝が折れてくれることを期待して、ブランコよろしくかなり振り回してみたのだが、ダメ。翌朝、竹竿の先に針金でノコギリを縛り付け、フジを1本づつ切りにかかる。
フジは縦方向には非常に強い繊維だが、横からノコで伐るとあっさり切れてしまう。難なく2本目が切れると、ズンと音をたてて2本のクヌギが落ち、最後のフジ蔓にぶら下がった。それはちょうど手が届く高さで、手ノコで切断すると(本当に、ナマのフジはいとも簡単に、ノコで切れてしまうのだ)ようやくクヌギが地面に横たわった。
ふう。薪採りも命がけだぁ・・・。