今年も美味しい雑煮を食べている。餅米は農協に頼んでおいた5kg。それを3回に分けて臼で搗く。5kgというのはこの辺の人たちはひと臼で搗いてしまうらしいが、アトリエには小さな蒸し器しかないしそれをチビかま君で焚くのでしょうがないのだ。それに今年も杵はヒノキの間伐材を削った原始的な棒杵。これで搗くのはかなりハードだが、実に旨い餅ができてしまうのだ。
焼くと表面がカリッとして(この部分に厚みがある)、中は非常に滑らか。軟らかいが、コシがある。山の水を使う(餅米を「浸す、蒸す」という長時間の過程を踏むので、水の質は大きく影響する)、炭火で焼く、というのがポイントなのだろうか? 木のぶつかり合いでなんらかの成分も入り込むのだろうか? とにかく、この餅はちょっとびっくりするくらい美味しいので、年末がどんなに忙しくてもやめられないのだ。
僕らが餅を搗く日、お隣のイタルさんが独りで電気餅搗き機を外で洗っているを見てしまった。ちょっと悲しかった。
餅は本来、秋に得た米を餅に搗いて神様に捧げるもの。五穀豊穣と自然への感謝の確認の行事である。正月、お供え餅を置いて、僕らもお裾分けを頂くのである。