強度間伐の森(その8/南小国)


朝食をいただく。野風ムラの敷地内「民泊なごみ」は素泊まり2,500円、朝食付き3,000円。車の通りからも離れ、桃源郷のような、穏やかなところである。自然農を長く続けるKさん自家製のお米、野菜(クリも)、味噌を使った朝食は力があった。とくにハタケシメジ入りの味噌汁は香りもすばらしく美味であった。

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食後、Kさんにまた案内してもらった。鍋ケ滝。遠景からのぱっと見はまるで堰堤から落ちてい水のように見える。ところが・・・

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滝の裏側が大きく掘れて洞窟風になっている。「裏見の滝」というやつである。

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地層の上部は阿蘇カルデラ形成末期の約9万年前に阿蘇山から噴出した火砕流が堆積したもの。その下の元の河原状の部分が長い年月をかけて風化して掘られ、洞窟ができた。奥に、火砕流によって一瞬に焼けこげながら堆積した埋設木が見える。生木に近いものもあって驚かされる。圧縮によって木の内部が真空状態になって腐らないのだろう。さりとて化石になるまでの時間は経過していないというわけだ。

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「鉾納宮」の夫婦杉、樹齢700年。端正で美しい夫婦杉が拝殿の門柱のような位置で屹立している。背後のスギ林も見事。

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さて、お待ちかねの強度間伐林に案内してもらう。

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樹齢は70年~100年生のスギ。小国スギは木目が美しいので有名。

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鋸谷式間伐と同じ密度管理を長く今日まで続けてきた。間伐は10年に1度のペース。

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形状比が低いので風雪害で折れることがない。

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中層に広葉樹が発達し、しかも山主がその恩恵をよく理解しているので美しい混交林となっている。

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70年生で胸高直径が70cm超。年間の年輪幅4~5mmで生長する。それが4玉は採れる。間伐すれば本数は減るが残した木が太る。間伐しなければ本数は温存できるが木が太れない。形状比(樹高/胸高直径の比率)が高くなり風雪害の危険が増す。かつ林内が暗くなり、下層植生が衰退する。生長の早い日本の林業には「限界成立本数」という概念が欠かせない。

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挿し木苗の木だが根の張りが強い。下層にはシダや苔が繁茂する。保水力も大きな森になっている。

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伊勢の宮域林もそうだが、強度間伐の針広混交林は清らかで美しい。天気がよかったので写真でもその神々しさがよく出ている。しかし全国にこのような人工林はまだ少ない。森林組合などは補助金主導型の弱い間伐を繰り返すので、なかなかこういう森にはならない。

鋸谷さんたちは森林組合改革の始めに、まず道沿いに強度間伐の見本林を作った。すると「うちもあのような森にしてほしい」という山主の依頼が増え始めたのである。

Kさんに別れを告げて九重方面へ向かう。Kさんお薦めの「池山水源」。

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やまなみハイウェイで九重連山を横断する。ススキの平原にクヌギやカシワの木々が生えるというのが阿蘇・九重でよくみられる光景だ。これは牧草を維持するために春に野焼きをするからできる。野焼きすればアカマツなどは燃えてしまうが、クヌギは樹皮が厚いので生きて残り、このような景観ができあがる。クヌギはシイタケの原木として欠かせない有用樹なので一挙両得なのである。

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左が三俣山。九重はミヤマキリシマの群落が有名だが、コケモモの九州唯一の群落がある。

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硫黄岳の噴煙。阿蘇~九重を回ると、九州が火山の国であることを実感する。

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由布岳の裾を越えて別府へ。

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昼食は湯布院まで来たのだから名宿のランチなどをいただくのがセオリーかもしれぬが「ラーメン天国」というお店で味噌ラーメン450円。若干の豚骨臭ありで紅ショウガがいきなり乗ってくる。値段安いよね。セルフのおでんがある。入ってから気がついたのだが、ここ2007年の取材旅でも入った店だった。

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