米松(ベイマツ)の真実


昨日の高知の皆伐採跡の写真を拡大。向こう側に残された木は下枝が枯れ上がり、生き枝は樹高の1/3をきっている。林内は真っ暗。奥の下層植生はおそらく皆無。典型的な線香林。手前の斜面では、同じ林分が伐採されたと推察する。すると、胸高直径はせいぜい太くて30cm。

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これはアンパンマンミュージアムの先を進んだところで見た物部川流域の崩壊跡。上部はヒノキ、中腹にはスギ。今年か? 昨年当たりの崩壊のものだろうか。2012紀伊半島豪雨、熊野の崩壊地とそっくりである。

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荒廃きわまった線香林。こうなると間伐しても残した木が回復できないので皆伐するか、強度間伐と巻き枯らしを併用して光空間をうんと開け、植生を戻さないといけない。

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茶色いのは枯れた葉である。倒れたときは緑だったが、根があらわになったことで枯れたのだ。その根が貧弱なことがわかる。胸高直径はやはり30cm以下だろう。

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伐り捨て間伐を批判していた人がいたけれど、こうして斜面ごと壊滅したら収穫する木がまったく残らない。しかも大切な表土が剥離してしまい、皆伐したときよりも緑の回復はずっと遅れる。いや、急斜面であれば半永久的にガレ場になる場合もある。

高知もやはり石垣の棚田が多い。

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徳島で県立博物館に入る。大きな木の輪切りがあった。

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ダグラスファー/ベイマツである。ベイマツは日本にも大量に輸入され、住宅産業で最も多く使われている外材の一つ。このような上質の巨木を、トコロテンを切るように製材して、それを関税率ゼロで輸入されたらたまったものではなく、国産材が勝てるわけがない。

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木目(年輪)がすごく細かい。北米大陸の天然林(原生林)の木なのである。直径3m、樹高は100mにもなる(!)木だという。上写真のプレートが正しいとすると、年輪幅を胸高直径と樹齢から逆算すると、木目の平均幅は約2.3mmということになる。

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しかし、現在では天然林は保護され、あまり伐られていないそうだ。で、植林されたベイマツがどんどん輸入されている。下の写真は、先日高松市内のホームセンターでみつけたベイマツの梁材である。天然林の木とに比べ、かなり木目が粗いのがわかるだろう。横架材(梁や桁など横に使う材/たわみにくい性質が要求される)は大きな断面が必要なので、まだ太い木がとれない日本では、住宅産業の梁や桁は、この植林ベイマツがかなりの割合を占めている。

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しかし、このベイマツだが、日本のさる輸入会社によれば「アメリカ北西部のワシントン州より購入しているベイマツは、四国程もある広大な私有地において、植林・育林・伐採が50年サイクルで計画されている再生可能な資源です」と書かれている。

この州に本拠を構える北アメリカ最大規模の「ウェアーハウザー」という林業会社があるのだが、その所有する商業用森林はほぼ四国と同じ広さで(世界最大の規模)、そのうち毎年の伐採は全所有林の2%にとどめ、伐採後1年以内に新しい木を植えるという。現在も毎日200,000本もの苗木を植え続けている(その主要木がベイマツ)というのだ。それが50年で高さ40m、太さ60cmに育つ・・・。

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北米大陸での林業は、ゆるやかな平坦地に近い土地で、しかも草が生えにくく「下刈り」がいらない。そして日本の住宅産業をターゲットに、そのニーズに合うように育林しているのだ!

ああ、日本。間伐もろくにできてない急斜面で、放りっぱなしで、いちおう外側だけは目のつんだスギ・ヒノキあるんだけどさ(こちら)。

勝てるわけがねえ!!!(゚´Д`゚)゚

おまけ。徳島、那賀川上流の紅葉。

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シカ肉のソーセージ。土佐中街道、べふ峡温泉にて。

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