カバタのある家「O邸」再訪、湖北高島へ


昨年の誕生日を僕はこの場所で迎えた。同年の5/10にも矢野さんと共に再訪。あれから1年半、家周りを水路に囲まれ、かつてカバタのあったこの家はどうなっているだろうか?

車で近づくとちょうど講座の施主の奥様が笑顔で待っていてくださった。家はかなり大掛かりに改装したみたいで、外観もすっきりと直っている。庭にもいい風が流れている様子が伺え、なんと鶏小屋までできて、ちょっと勇猛な鶏が蠢いているのだった。

暮らしに心の余裕がなければ新たに鶏を飼うことなどは到底できないだろう。玄関から中に入ってその改装具合にまず驚かされた。めちゃくちゃ綺麗だ。しかもスギ材がいい感じで使われている。

当時の面影はまったくなく(いや、正面の格子戸だけは既存のものをあえて使ったとのこと)、一部は漆喰塗りになっている壁と無垢の木とのバランスも良い。そして大型の薪ストーブが据えられており、それが料理にも活躍している様子だった。

家の改装は半分だけで、問題であった個所は埋めることなくそのまま様子を見ているという(見せてもらった)。改装部もベタ基礎にせず、布基礎で旧部分との連続性を保たせている。奥様は改装に当たって相当勉強されたらしい(そういえば昨年の講座終了の時、僕は自家製の鮒寿司と僕の著書3冊を交換し、そのあと建築の参考図書などをお教えした/笑)。

この家のネックはなんといっても湿気である。周囲を水路で囲まれている。その水は飲めるほどの裏山の沢水が水源になっている。過去には家の中央部にその水を引き入れて内カバタとして洗い物などに使っていた。そこはもちろん土間であり竃(かまど)もあって薪火が焚かれていたにちがいない(その証拠に家の中央部の屋根に煙抜きの高窓が残ってる)。

この土間での薪火使いが家の湿気を解放するのに大きな役割りをしていたはずなのだが、それが昭和の改装で合板や新建材によって閉じられてしまい、湿気がこもってし住環境が悪くなった(改装前の中央部は床がへこむ場所があった)。

僕だったら再び土間にして囲炉裏を焚きたいところだが、現代生活ではそうもいかない。そこでOさんたちは、床下の通風を確保しつつ調湿効果のある無垢のスギ材や漆喰を使い、薪ストーブをインテリア的にでなく家の心臓部として調理にも活用する(改装後の台所にはビルトインのガスやIHのコンロがない!)・・・という作戦に出たわけである。

ところで、この家の裏山は奥島山といい山頂尾根に巨石が連なる磐座(いわくら)信仰の山として知られ、地元では津田山と呼ばれているのだが、この山塊は実はかつて琵琶湖で最大の島だったのである。すぐ隣に干拓地「大中の湖」があり、地図で見ると当時の様子がうかがい知れる(赤丸がO邸)。

地理院地図より改変

地図の左上に浮かぶ沖島とのサイズを比較してもその大きさが解るが、周囲を琵琶湖という巨大な水圧囲まれているために、雨水の浸透水は自噴しやすいのであろう。沖島でさえ棚田跡にあれだけの湧き水が流れ出ているのだから、O邸周りの水の豊かさも推して知るべしなのである。

周囲の水路も健在である。「大地の再生」講座中に植えられたセキショウも根付いて風景に同化している。

表の庭周りの溝は、講座当時はまったく埋もれていたままだったが、今では水路が再生して透明な水が流れているのだった。

今年も家の周りでホタルが見られたという。洗い物ができる外カバタでは子供たちがエビを捕まえようとしていた。この水で日常遊べる子供たちは幸せだな・・・。水路の手入れは大変だけど、ここの暮らしには(日本でも稀な)平地で湧水を使える喜びが与えられている。そしてこの水を維持することが、自分たちの住環境を保全する最大の道しるべとなる。

今日は沖島から同行している高島の薪ストーブ屋、池田さん宅に泊めてもらい、明日は京都のTさんの別荘古民家に直接向かうことになった。池田さんはセルフビルダーでもあり、この家は最新作の3棟目だという。

まだ薪ストーブを焚く季節でないのが残念! というわけで囲炉裏を盛んに勧めてしまう僕であった(笑)。

敷地にある石垣は僕の本を参考にして自ら積んだものだそう(!)、

これが初期の1棟目。増築の感じがアート感あふれてる♬

到着してざっと敷地を見せてもらった後、近所の祭りに遠方から知人が来ているというので挨拶に行く。

屋久島で会ったことがあるダンサーの加絵嬢であった。

※ブログ過去記事「秋の屋久島5./水の浄化の座学+縄文囲炉裏小屋を作る(2019/10/29)」の集合写真で一番派手なポーズをとっているのが彼女です😀。

池田邸に戻って沖島の琵琶湖の幸で宴会♬

サラダやお吸い物も美味しかった! 高島は琵琶湖沿岸のなかでもとくに自然の豊かなところ、まだまだ見たいものがたくさんある。

旅は続く。


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