座学の場所として用意されたのは「屋久島サウスビレッジ」という施設だった。屋久島ってこんな感じの施設がそこかしこにある。ここは長期滞在宿として売り出しているようだ。食堂の一室を借りてスライドを45分、質疑応答を15分ほど。
とくに屋久島Iターンの人たちに知ってもらいたかったのは、日本の上下水の現状と、そのメカニズムについてである。あまり難しい話を先に持ってくると眠くなってしまうので、僕の来歴や山暮らしの囲炉裏や水や料理にまつわる話から振っていったので、けっこう熱心に聴いてくれたようだった。
ここからEKAMの敷地までは目と鼻の先だ。さっそく道具類を運び入れ、現地で丸太を確かめる。が、けっこう太い! しかもズブ生(伐りだしたばかりで未乾燥)でメチャ重い・・・。未乾燥のスギ材は乾燥重量の1.5倍の水を含んでいると言われる。ともあれ皮むきから始める。
丸太は4mモノなので使う長さに切りそろえ、先端に梁を載せるためのV字を切る。これは「イスカ」と呼ばれるやり方で、丸太の両側から45度の切れ目をそれぞれ半分まで入れ、中央からヨキで割ると簡単で正確なV字受けが作れる。意外や、参加者の中にこれをやったことがある人はいないようだった(僕の本には図解してあるのだが)。
というわけで皆に実践してもらいながら、「それじゃついでに丸太割りやってみようか」と持参したクサビを取り出す。元玉で太い節がやたら付いている丸太だった。ちょっと心配だったが、やはり案外簡単に割れが入る。
最後のクサビ打ちと半割りの瞬間は皆にやってもらった。
これがなぜかメチャ盛り上がって大喝采なのであった。「これにてイベント終了!」してもいいくらいの感動が伝わってきたのだが、んなわけねーだろ! ここからが本番なのだw。
ダブルスコップで穴を掘って、焼いて腐食止めした柱を立てていく。
下げ振りを使って垂直を見、天端が揃うように埋め穴を調整していく。そしてV字受けが梁を載せる方向に揃うようにして小石を土を入れながら棒で突いて締めていく。このときイスカは目測で直角がとれるという点でも優れものなのである。
太いので柱が立つだけでけっこうな迫力がある。僕が送ったスケッチを見て「小屋‥!素敵すぎる‥心が震えました‥!」と書いてきた代表のあいか氏だが、竹材と組み合わせるここから先は、僕も未知の領域なので、さて・・・。
梁は半割りにした丸太をさらに半割りにしたものを使った。正確に半割りしたいときはチェーンソーでガイドを何ヶ所か入れておくといい。それをカスガイで止め、ヨキでノッチを入れてもう一本重ね、ロングビスで上から一発止めする。この角に重要なフレームが来るので番線は使いたくない。
中心フレームができるまでの間、竹を切り揃えてもらっていた。四つ角に立てかけるように竹を重ねていく。
2つの交差部分に棟木にあたる竹棒を載せ、方向が合ったら番線で縛って固定する。そして地面部には木杭を打ち、やはり番線で止める。この竹フレームの長さと角度・棟木の位置で、縄文小屋のシェイプが決まる。ここが最大のキモといえるだろう。
煙抜きとなる上部のフレームを固める。足場板を2枚渡しています。
梁の間に2本ずつのフレームを立てかけていく。基部がきれいな円形〜楕円になるように調整する。
大地のメンバーSさんが茅刈り部隊を誘導してくれた。最初、茅がけの支点はロープにしようかと思ったが、小屋作り資材の幅木がたっぷりあったのでそれをお借りした。
茅掛け開始。縄文小屋ってちょっとダサいイメージがあるけど、骨組みはフラードームのような宇宙的な味わいもあって面白い。
う〜ん、時間が押してきて、夕暮れてきた。しかし、山にあたる夕景キレイだな・・・。
さすがに今日は屋久島5日目ですから、皆もしゃかりきにはなれずちょっとレクリエーション気分だよな、ワカル・・・。矢野さんのように「結」作業を追い込めない私(笑)。鶏も歩いてるしw。
まあ茅掛けは終わらんとしても、自在カギだけは下ろさないと縄文囲炉裏小屋にならない。足場に登っていた人に棟木の竹に番線を結んでもらっていたのだが、速攻で二又枝をナタで加工し、簡易自在カギを作って下ろした(でも吊り鍋や鉄瓶がなかった)。
まあ未完だったけど、大いに盛り上がって楽しんでくれたようだ。EKAMメンバーのゆりちゃんは顔に炭で隈取り描きしてすでに縄文人気分♬
記念撮影して終了!
皆さんご協力ありがとう!