翌朝、なんと愛知川の濁りは引いて、まだささ濁りではあるけれど、泳げるまでに水量はおさまっていた。
朝食7:30。具沢山の味噌汁をつくる。
山の水と薪火でたっぷり野菜の味噌汁をつくるとき、出汁なんてなくても美味しいものができてしまう。四国から持参したスダチを切って味噌汁に絞る。もうこの汁とご飯だけでウマい!!
食後、子供たちは待ちきれずに川へ向かう。まだけっこう流れが早いので、僕も海パンに着替えて子供たちを向こう岸まで引率し、岩から飛び込みをやったりしてしばらく遊んだ。
が、さすがに昨夜の膝のやけどの跡がひどく、Mさんが自然療法で治療してくれることになった。それがまた驚きの方法で、患部を水洗いしたその傷口に、カワラヨモギの葉をひとにぎりほど直接押し付け、その上にビニール(その辺にあったお菓子かなにかの空袋です)をかぶせて日本手拭いで縛るだけ。
ヨモギにかぎらず草ならなんでもいいそうで、これでまず熱を取るのだそうだ。草は水洗いせずそのまま使うのは、草の酵素を活かすため。その後、患部をどくだみエキスのスプレーで消毒し、なたね油を塗って(本当はオリーブ油がベスト)、またカワラヨモギ・・・これを夜まで3回ほど取り替えた。
途中、Mさんの声がけでKちゃんが指圧で加勢してくれ(今回初めて知ったのだがKちゃんは鍼灸師だった)、深い眠りに落ちていく心地になりながら、他の体調のことについてもMさんにリーディングしてもらい、いろいろアドバイスを受けた。
幸い、皆が泳ぎに夢中で、薪火もポイント指導で皆ができるので、治療に専念できたのだが、このやけどの自然療法には絶対条件があって、2週間ほどは動物性食品、乳製品、甘いもの、アルコール類は一切禁止。これを守る守らないで治りが全然違ってくるという。また、数日は梅酢を薄めたものを飲むのが良く、Mさんがそれを作って何度か手渡してくれた。
痛みも落ち着いたので、午後から2回目の刃物研ぎのwsをやり、次に丸太割りをやった。3mの丸太を長いまま2本のクサビで半割りにするのである。今回は丸太がやや小さかったが、かなり太い丸太でもこの方法で半割りすることができる。
それをヨキでハツると厚板を作ることができる。これをチェーンソーの簡易製材機でやることもできるのだが、実際やってみればわかるが、膨大なおがくずが出るだけでなく、ガソリンの消費も早く、音もうるさく、あまりにもストレスが多い。
おがくずは燃やしにくいが、このハツりクズは囲炉裏やカマドの焚き付けとしていい燃料になり、ハツりの音は林間にこだまして子気味良い。
山暮らし時代、僕はこの方法で板をとり、囲炉裏部屋の床を仕上げたことがある(詳細は拙著『囲炉裏と薪火暮らしの本』『楽しい山里暮らし実践術』参照)。
お次は竹細工へ。竹細工というとみなカゴ編みを思い浮かべるが、僕のはそのずっと手前の日用品作りだ。コップ、箸、竹串、ヘラ、バターナイフなどなど。竹というものの性質や美しさをまず知ってほしい。
が、一昨年もそうだったけどこの竹細工、やりだすと皆一心にハマってしまうのだ(笑)。とくに女子は台所に直結しているだけに。
これはおろし金に残った残骸をきれいに掃除できるスクレイパーである。今回はこれが一番人気で足りない刃物を皆でまわしながら作った。難易度はかなり高く、怪我する危険も大きいのだが・・・
竹の性質を見事に引き出した美しくも実用的な小物である。
子供たちが川から上がってきて冷えた身体を焚き火で温める。囲炉裏の吊り鍋方式は料理しながら同時に暖をとるにも最適。
永源寺のダム湖畔に住むI夫妻。以前、僕のアトリエの「大地の再生」に四国まで来てくれたことがある。林業関係の仕事がら、焚き火を習得したいというので、イチから教え、実際ゼロからやらせてみる。今年新たに借りた家の薪火ライフのレイアウトを考え中というので、明日家を見にいくことにした。
手前ではKちゃんが小さなカマドでカボチャの天ぷらを揚げている。石のカマドはこのように臨機応変に大きさ、位置を変え、いくつも同時進行することができ、用途によって薪や熾炭を交互移動してもいい。
暗くなると薪の火は光源にもなる。火の周りでは蚊やブヨに刺されることがない。適度に出る煙が蚊取り線香がわりになっているのだ。夏の焚き火・囲炉裏もいいものである。とくに雨の多い日本の山の夏は、様々な効用からなくてはならないものであった。
焼き肉が始まったが、僕は野菜とご飯と味噌汁のみ。それも少量。もちろんアルコールはなし。
今夜は早々とテントの中へ。皆の話し声笑い声を遠くに聞きながら、川音に包まれながら、眠りに落ちていく。
(3日目に続く)