徳島の雪折れ(その2)


▼昨日のNHKニュースより。

【徳島 大雪による停電 背景には森林放置】

「今回の停電は倒木が主な原因で電線が切断されるなどの被害があった所はおよそ630か所」

「地元の森林組合によると、倒木が目立つのは不必要な細い木などを間引きする間伐などの手入れが行き届いていない森林」

「この地域の森林は個人や企業などが所有する私有林が多く、三好市で約73%、東みよし町で約92%、つるぎ町で約85%を占めている」

「林野庁の造林間伐対策室は『徳島県の倒木の原因については調査中だが、今回のような問題は全国で起こる可能性があり、豪雪や台風による山林被害を防ぐため私有林の適切な管理を行ってもらいたい』と話してる」

何を今さら・・・という感じだが(ニュースにしてくれただけマシか)、この問題はもちろん徳島に限ったことではなく全国的な問題なのである。


日本の人工林施業においては、間伐の質が極めて重要な意味を持ってくる。どの時点でどのように間引いていくか? で、その後の山の姿は大きく変わってしまう。この舵取りを、日本の林野行政や森林組合は決定的に間違えたのだ。

数十年育ててきた木々が、たった1回の大雪や台風で折れれば、それまでの苦労は水泡に帰してしまう。それどころか、山そのものを破壊し人々の暮らしを脅かす。

もともとスギ・ヒノキ植林の適地は、シイ・カシ林がベースになった「褐色森林土壌」の山である。地球的に見れば、雨が多く、温かさも程よい、土壌動物が最も多いといわれている植物の宝庫である。

しかも、世界の温帯のなかで、植物の最も成育しやすい日差しの長い夏至の周囲で多雨になるというのは東アジアだけだ。ここでは人工的に管理しないと草原ができない(数年で森林に遷移してしまう)。

すなわち大きく間伐して林床に陽が差せば、勝手に草木が生えてきてくれるのだ。

この世界に冠たる「褐色森林土壌」の表土が、間伐遅れの人工林のせいで、大雨の度に流されている。もちろん木は太れなくて、ヒョロヒョロ。で、雪折れ。この自然の摂理を無視した、経済重視の成れの果てを、どれほどの林業関係者が自覚しているであろうか。

間伐遅れの人工林を「緑の砂漠」と言ったのは私の造語なのだが、もう一つ言っておこう。

現在の日本の間伐遅れの線香林は「世界最悪の森林施業の失敗例」である、と。

後日、雪害現場の徳島県つるぎ町、半田川流域へ行って撮影してきました(2014/12/18)。

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風雪害の山と岩場の針葉樹

 


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