今日の宿は愛媛県の西条市のはずれ。松山の定宿は満員で予約がとれなかった。西条は石鎚山系からの湧水が有名で、酒どころである。地元のスーパーに立ち寄ってみると、見慣れないラベルの「石鎚」を発見したので買ってみる。
石鎚無濾過純米槽搾り(いしづちむろかじゅんまいふねしぼり)。松山三井という地元の米、自家培養酵母、そして昔ながらの槽搾り(遠心分離など機械を使わず純粋な圧縮搾り)。
無濾過とは濁り酒のことではなく、炭素濾過を行っていない酒という意味だ。白濁した原酒はしばらくすると沈殿して黄金色の上澄みが残るが、普通はそこに活性炭の粉を入れて無色透明に近づけ、雑味を消す作業を経る。
宿で封を切ってみると、これはすばらしい! フルーティな吟醸酒そのもの、だが飲み飽きない。ほんのり杉樽の香りもする。松山の蔵元屋で石鎚はいろいろ飲んだ記憶があるが、これは特別という感じがする。値段も高くないのだ。
以前、西条の蔵元を訪ねた日記(こちら)を書いたけど、愛媛は酒蔵が大変多い。隠れた酒どころといわれ、全部で46の蔵元があるという。なかには地域限定酒も多いにちがいなく、愛媛には酒を探しに旅する価値がある。
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夜はホテル近くのおでんとラーメンの店へ。「バスの店」と名前が変わっている。
おばちゃんが一人でやっていて店内はガラガラ。「カウンターに座ってちょーだい」と言われ、おばちゃんと話しをしながらおでんをつつく。
バスの店という名の由来は、むかしほんとうにバスの車を使って店をやっていたのだそう。その頃の常連さんのためにバスの記憶を残したかった、と。
おばちゃんはお遍路経験者で、お遍路ネタになるとがぜんハナシが熱くなるのであった。
よく味のしみたおでんで、ニシガイの串があったのが珍しい。ちなみに関西では「味のよぉ~くしゅんだおでん」というように「しみる」を「しゅむ」と言うらしい。
yuiさんはうどんで〆。
ワタシは夜のうどんは苦手なので、近所のすき家に食べにいく。「牛あいがけカレー」味噌汁付き。カレーが意外にスパイシーで美味い。すき家も頑張っている。
明日はお遍路の続き、また難所だ。