岩手県一関市にあるジャズ喫茶「BASIE」。ジャズファンンのみならず音楽関係者で知らぬ人がいないほど超有名な店である。JBLのスピーカーつながりでいまドキュメント映画が公開されていることを知り、ちょっとすき間ができたので四国で唯一上映されている映画館、愛媛松山のシネマルナティックヘ日帰り旅をこころみる。
映画『ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩(Ballad)』公式サイト>
いつもなら車を出すのだが今回は電車で往復してみた。松山へ電車で行くのは初めてという興味も手伝った。車内で読書もたっぷりできる。高松〜松山は乗り換えなしの特急「いしづち」号で約2時間半の旅だ。
おひつにご飯があったのでそれでおにぎりを作り、冷蔵庫の中の作り置きの惣菜やぬか漬けを入れて弁当を作る。それをインスタにアップして出発。
三豊あたりから先は海沿いの風景になって車窓がはなやぐ。面白いのは今治経由であること。車だと伊予西条から直線で松山まで突っ切るのだが、電車は高縄半島を海岸沿いにぐるりと回っていくのだ。その風景がのどかでいい。古い建築も残っている。yuiさんとお遍路したときのことが鮮明に思い出された。
さて、松山駅に到着して歩きだし、たしか開演は2:20。映画館まで歩いても十分間に合う距離・・・とシネマのホームページを調べたら「が〜ん」、本日は休館日なのであった。バカだな俺・・・。
明日はGomyo倶楽部のドラム缶窯の小屋掛を手伝う予定にしていたので、仕方なく高松へ引き返そうかと思ったが、あまりにもったいないのですぐにN先生に電話して作業を1日延期してもらうことができ、今夜は松山泊まりで明日映画を見てから帰ることに。
こうなりゃ肱川の河口の長浜でフグでも食べるか・・・と思ったが、ネットでにわかに調べて失敗するのはイタイのでやめて、会員になっているダイワロイネット・ホテルへ予約。松山城に近いいい立地にある。これまでの定宿だった東横インが斜め前に見える。会員かつGOTOキャンペーンということで安かった。
お堀沿いに歩きながら、「坂の上の雲ミュージアム」に入ってみる。松山市出身の秋山好古・真之兄弟、正岡子規の3人が主人公となっている司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』にちなんだ美術館で、設計は安藤忠雄である。
建物全体は正三角形でそれを角度をつけて上方に傾ける、中に空中階段を設けるというかなり頑張った作品。さすがに傾斜の壁がちょっと身持ち悪かった。三角というベースも落ち着かないし空間に無駄が多い。そのわりに展示はおとなしめ。
そういえば先の映画館は四国に引っ越してまだ間もない頃、放射能関連のドキュメンタリーがあって見に行ったことがあった。途中三豊の「はまんど」でラーメンを食べ、松山では地酒が飲める「蔵元屋」で愛媛の日本酒を堪能し、2軒目にとんそくの「清香園」を発見して忘れられぬ旅となった。当時はホンダの軽「アクティ」で下道を走るというのんびりした旅程だった。
そんな追憶をたどり宿に荷物を解いたその足で「蔵元屋」を訪れてみたが、店内に客は一人もおらず、いちばんのお気に入りだったオツマミ、乾き物の「ひめがいの干物」がない。聞いてみると「もう製造していない」という。コロナということでチェイサーやお燗つけも撤去されている。
さすがに「清香園」は肉だらけになってしまうのでやめておいたが、蔵元屋では「石鎚」の緑瓶と、「賀儀屋(かぎや)」の純米吟醸を飲んだ。どちらも蔵元を訪れたことがあるが、石鎚山系の水をもちいた素晴らしい酒で唸るほど美味しい。3ヶ月ほぼ禁酒していたわけだけど、やっぱりこの日本酒文化を封印するのは良くないな・・・などと「自己弁護」を始める僕であった(笑)。
それでも飲んだのは小さなコップにそれぞれ1杯だけ。店を出てアーケードに入ると「無印良品」があったので着替え用の下着や靴下を買う。
愛媛の日本酒に覚醒されて夜は寿司屋に行ってみるか? と星付きコースの店に電話してみたが1軒は休み、もう1軒は満席ということで諦めた。自分で寿司を握って人様に出すのだからいちど本物のトップレベルの寿司を食べておくべきだ・・・と思ったのだが。
道後温泉へ路面電車で出かけるのはおっくうになってしまい、けっきょく宿のちかくにとんかつ屋があったので生ビールと「カキフライとヒレカツ」の定食で〆た。
この生ビールと、そして定食がすごく美味しかった。ビールや揚げ物・とんかつも封印していたせいもあったかも? だが、もともと松山は飲食のレベルは極めて高い街なのだ。店の空間も町並みも美しく研ぎ澄まされている。道後温泉という一大観光地を持っていることもあるのだろう。
日帰り旅のはずが思わぬ拾い物をした気分。宿に戻りキンドルで読書。明日は午前中たっぷり時間がある。松山城に登ってみようか(これはyuiさんに仕組まれたかなw)。