朝、矢野さんはアペルイの奥の敷地を見回りし、田中さんに今後の施業の指示を出す。そして始発のトッピーの待つ宮之浦港へ向かった。映像撮りのMさんは昼の飛行機。私は最終のトッピーまで屋久島に滞在する。朝食にいただいたシロバナセンダングサの胡麻和えが面白い。屋久島中いたるところに生えている外来種の雑草で、姿は「ひっつきむし」で名高い本土のアメリカセンダングサそっくりだが、薬効が高く南洋諸島ではけっこう食べられているらしい。
今日は前回のアペルイで会ったYさんが果樹園計画の場所を案内してくれることになっており、10時頃Kさん(今回「大地の再生」初参加)と一緒にお迎えに来てくれた。田中さんは矢野さんの指示通り今日は重機を乗り回している。広場のファイヤープレスは底がコンクリート張りなので、それは壊し、やや小さめのものに作り変えるそうだ。次回はいい感じで焚き火できそうだな。
案内されたのは屋久島の南端にある海が見える広大な畑地である。矢野さんらは屋久島入りの初日にここの見立てを行なっているのだが、私もぜひ見たいと思っていたのだ。
この果樹園計画(というよりもエコビレッジ計画という壮大なもの)の首謀者Aさんが作業着姿で待っていた(写真右)。
前回の話を聞いてYさんが僕の著書『楽しい山里暮らし実践術』を購入したらしく、この敷地について山暮らしの視点からアドバイスしてほしいということらしい。今日はここで手作りカレーをご馳走してくれるという。
前回アペルイで話を聞いたとき、20代前半の女の子が6,000坪の土地で農園を?ホンマかいな・・・と思っていたのだが、Aさんはつい最近、本当にこの土地を購入した。まずは敷地をぐるりと案内してもらった。農地はいちど整備されたもので農業用水が引いてあり申し分ない。
敷地には一部山林や、
沢もあって斜面に竹が乱立している。この竹はいろいろ使えそうだ。
それにしても、山のスケール感がすばらしい。ここに佇むだけで目の覚めるような土地である。
飲み物を持参したというのだがコップがない。竹で作ろうということになった。
ついでに竹の基本的な割り方、竹ごしらえを教える。
竹箸もできた♬
ヤギと鳥を飼っている。竹を伐採してきたのはYさんだそうで、刃物の扱いもなかなか器用だ。
薪火で米を炊きたいというので、まずは焚き火と食事のスペースを確保するべく、散乱する材料を片付け、じゃまなU字溝を動かす。彼女たち2人がかりでも動かなかったというコレ。コツさえ覚えれば一人でも動かせるし、竹でコロを作るとさらに簡単に動く。
背中から涼しい海風が通る場所にちょうどいい石のベンチ。その前で簡易かまどを作って火を起こす。「すげ〜〜〜、一発でついたよ〜」「さすがぁ〜」(笑)。
この辺りの石は節理をもっていて平たく割れるようだ。うまく組めば石の上に鍋が置ける。
洗った米は30分ほど浸してから、蓋に重石をして炊く。
火吹き竹も作った。今の季節、枯れ木もけっこう湿っているので必須の道具だな。
シャモジがないというのでそれも竹で作る。う〜む、しかしこんなに働かされるとわ(笑)。
器も竹で作って盛る。節のところをうまく使うといい。
石のテーブルにバナナの葉を敷いて。
カレーはビーフとレンズ豆だった。美味しい♬ お米の炊き具合もバッチリだったね。
大満足の3人♬
食後、すぐ近くに水浴びができる滝があるというので見に行ったら、後から来てバシャバシャとさっそく滝へ向かう二人! 水はけっこう冷たい・・・
どひゃ〜、これぞ屋久島だぁ〜!
躊躇していると彼女たちに背中を押され、メガネとカメラを預けて、私も・・・。けっこうな水圧で、瞬時に「無」になるのだった。
しかし人生いったい何が起こるかわかったものではない(笑)。
びしょ濡れで広場に戻るとAさんが石の上で昼寝をしている。この3人がこれからこの場所をどのように開拓していくのか、最初から再生を目指す彼女たちのパワーに迷いはない。新しい戦士の世代が誕生しているのかもしれない。
着替えて港へ急ぐ。最終のトッピーは発着ぎりぎりで飛び乗った。著書にサインを求められたのだが、信号待ちで少しずつ描いたものの、途中で時間切れになってしまった(笑)。