寒かった前夜、囲炉裏暖炉を深夜まで燃やして、2階に上げておいた薪がすっからかんになってしまった。というわけで午前中は外に出て薪割り。薪置き場には焚きつけの小枝はもうない。なので廃材の細割りも作りたいが、横斧は柄が折れたまま放置してある。時間がとれなくて柄のすげ替えがなかなかできなかったのだ。だがもうそんなことは言ってられない。
前回はベイマツで柄をつけたのだが、横斧の付け根からポキリと折れてしまったのだ。やはり建材に使うような針葉樹はダメだ。使うならこずえに近い生き節のあるもの、しかも天然乾燥のものでなければならない。ヘッドの穴に角材を置いてハンマーで叩いての残骸を取り出し、今回はヤマザクラの枝を使うことにする。
ところが1本目は腐朽菌が入っていてダメだった。虫食いもある。
通直で程よい太さのもの、2本目を薪置き場から探してくる。
これは大丈夫そうだ。
ヨキで粗くハツってからカンナで仕上げる。接合部は小刀で調整していき、入れる前にゲンノウで木殺ししておく。
止めのクサビは材が硬くて入らなかった。やはりヤマザクラはぜんぜん違う。
これは高松に越してきてから鍛冶屋に打ってもらったものだが、以前山で使っていたものよりヘッドがやや重い。しかし、それだけに非常に早く細薪を作ることができる。
このサイズの細薪をつくるときに便利なもので、普通のナタや斧を使うよりはるかに早く安全に仕事ができる道具なのである。この「安全に」・・・というところがとても重要で、いちど使ってみればその価値がわかる。
この横斧は、東京の西多摩在住時代、日の出町の古道具屋で薦められて購入したのだが、これまで他の地域では一度も見たことがない。下写真は山暮らし時代に使っていたその横斧とスギ割りの風景である。
残念ながら、この初代は引っ越しのゴタゴタで紛失してしまった。
横斧はあまりに便利なので、拙著『囲炉裏と薪火暮らしの本』でも紹介し、そして一昨年、高松の西宝町にある「土佐刃物製作所」で特注して作ってもらった。薪ストーブ愛好者にはピンと来ないかもしれないが、囲炉裏やカマドで日常生活を送ろうとするとき、大変頼もしい友である。
※そのときの記事は横斧の柄を作る、横斧でスギを割るで見れます(動画もあり)。