囲炉裏グッズと暖炉の構造


囲炉裏暖炉と煙の引き

昔の囲炉裏を使っていると寒い日のほうが煙がよく引くことに気がつく。冬の日中など屋根が陽で暖まっていたりしていると、煙の引きが悪くて部屋がけむたくなることがよくあった。しかし夏の場合は、窓を開放しているぶん(もちろん網戸はしておく)吸気が自由で大きいので、煙さはほとんど感じない。

この囲炉裏暖炉も同じで、昨夜も燃やしてみたのだけど、フードから煙が漏れるということがほとんどなかった。

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炎は背中の石に沿って立ち上がり、ぶれずにフードの中に吸い込まれていく。普通の暖炉は両サイドに壁があって、箱の中で燃やす感じだが、この囲炉裏暖炉は3面開放型なのでより広く直火が楽しめる。

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直火(炎)の囲炉裏の最大の欠点の一つである排煙を、暖炉フードの構造(ただのフードでなく、中で吸気を絞る棚が作ってある)を利用することで克服できたわけで、これは本当に画期的なことだ。

灰飛びもほとんど無くなったので掃除もすごくラクだ。壁も本も黄ばまないし、同じ部屋でパソコン仕事ができる。

小さな炎を楽しむために

普通の暖炉は側壁があるので大きな薪をドンと燃やしてしまいがちだが、この囲炉裏暖炉は小さく燃やしても側壁がないぶん大きな炎に感じられる。薪と炭が燃えている幅はせいぜい15cmくらいだろう。大きく燃やせなくもないが、このくらいがちょうどいい。

火は大きければいいってもんじゃない。最小限の火を持続させながら、最大の豊かさを引き出す・・・というのが囲炉裏暖炉の神髄なのである。

ただし小さな火は熱量が小さいから、薪の成分がガス化しにくい。だから燃えやすくするためにはやや細い薪を使うとよく、ときに火吹き竹を併用する(それでも背後に蓄熱・反射する石板があるぶん囲炉裏よりは燃えやすい)。

囲炉裏暖炉の周辺グッズ

さて、暖炉や薪ストーブの場合、薪扱いグッズである「十能」や「火ばさみ」、「箒(ほうき)」などを専用のスタンドにぶら下げているが、囲炉裏暖炉の場合は、炉の中に置けるの便利である。ただし、薪置き、火消し壷などは炉外に置く。

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夏にちょっと焚くくらいなら、薪はこんな角材や板の端切れを割ったもの、針葉樹の木っ端でも十分。

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小さな缶の中に着火用のカンナクズ、ハツりクズを入れておく。あとライターもこの中に。

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ライターを炉縁の上などに出しておくと、万一爆ぜた燠炭がライターの上に落ちたとき、ガスライターのプラスチック部分の燃料ケースを溶かしてしまったとき危ない。火を離れるときはファイヤースクリーンがあると万全だが(まだ作っていない)、囲炉裏暖炉の場合は炉が広いので場外に出るハゼは少ない。また板に落ちてもすぐ消えるものである(焦げ跡は残る)。

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火消し壷は床に直置きせず角材を2本渡して空間を作っておくと安心。

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火吹き竹、火箸、ワタシ、灰ならし兼用の十能、これらは囲炉裏グッズをそのまま流用。手前のスギ板は足の裏を温めるときの枕(足置き)だ(笑)。ちなみに「灰ならし・十能」は最初に囲炉裏を再生した2005年に作ったもの(日記2005/12/14)を使っている。

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ダンパーの板がフードの棚の中に載っているが、その把っ手に火箸を掛けて開け閉めができる。火箸は細かい作業に便利なのものだ。

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熱くならない囲炉裏暖炉の煙突

薪ストーブは吸気をしぼっているために中の発熱は高くなる。いわばいつも火吹き竹で空気を送り込んでいるような状態だ。一方で囲炉裏暖炉は吸気が全体から回るので火が穏やかだ。だから薪ストーブのシングル煙突はやけどするほど熱くなるが、囲炉裏暖炉のフードや煙突はそれほど熱くならず手で触れるほどだ。

裸火は一見危険そうだが、放置すれば自然に消える。燃やすには薪をくべ続ける必要があり、結果的にそれが安全を呼ぶ。ガスや石油などは種火でも消し忘れると延々と燃え続け、徐々に蓄熱して一気に火災になることがあるが、囲炉裏暖炉はそれがない。灰をかければすぐに消火できるという安心も大きい。

吉村順三の言葉

それにしても、参考図書を取り寄せていろいろ勉強してみたのだが、西洋暖炉を踏襲した設計、たとえば石の構え、フードや煙突の厚みなどは、日本の普通の地域で使うにはややオーバースペックに思える。囲炉裏風に使うにはなおさらで、もっとやさしくていいのではないかと思う。

暖炉をつけてみたものの使わなくなる家が多いと聞いたことがあるが、そのへんにも原因があるのではないだろうか。

日本でも、ファイアプレースを作る家が増えてきたけど、ファイアプレースそのものをデザインする人はいないね。みんなどこかの受け売り、どこかで見たことのあるようなのを作っているでしょ。自分でこういうものを、火を燃やすことを考えてデザインしているのはわりに少ないね。(中略)少し自由に発想して、楽しい暖炉を考えてごらん。まだいろんなことができるはずだよ。(吉村順三)

私はやっぱり囲炉裏文化を再創造してみたいんだな。


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