二日前に初セミの声を聞き、昨日の高松は36度まで気温が上がって、とんでもなく暑い一日だった。
わが家ではまだクーラーは設置していない。「まだ」というのは、この新築の家の夏をクーラーなしで耐えれるどうか試しているのだ。
四国の夏は過酷である。東日本で生まれ育った私には、こちらの夕刻から夜にかけての暑さがたまらない。だから家の設計は夏をいかに凌ぐかを熟慮したのだが、基本的に過密でヒートアイランドの都会と、土や緑のある郊外・田舎はかなりちちがうということに気付かされた。
ここでは海風の影響も大きい。昼は海側から風が吹き、夜は逆に山側からの風になる。その変わり目、凪(なぎ)の時間帯がしんどいのだが、その後の夜風は心地よいものである。
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私の予想では、この家の断熱性能ならクーラーなしで十分いけるのではないかと考えている。昨日のように風がない猛暑日はかなりキツいが、今日のように風があればなんとかしのげる。
また、室内の漆喰壁と、呼吸する無垢の木がふんだんに使われていることも大きいだろう。とくに30mmスギ床の感触は最高で、愛工房の床に裸足でいるのは、ほんのりひんやりした感じが心地よい。
この家は基本的にはウレタンフォームによる断熱だが、屋根と外壁に空気層をおいている。その断熱の効果は抜群で、一日中日差しを受けても内壁や勾配天井は熱くならずひんやりしたままだ。
コンクリート住宅が過酷なのは壁が日照で蓄熱してしまうからで、この熱を深夜まで放熱し続けるのだからたまらない。空気層とウレタンフォームがこの蓄熱を極力排除している。
熱がくるのは窓からなのだ。ペアガラスで複合サッシでもこの暑さにはかなわない。だから窓を小さくし、あるいは窓を遮熱しつつ、自然の風をいかに取り入れるかが鍵だ。
どの窓をどのくらい開けるかで風の取り入れが変わってくる。1階と2階は階段を通して空気が流れるし、1階には地窓も付けているので、その開閉の組み合わせをあれこ試している(というわけで今は扇風機も置いていない)。
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仕込んだ梅干しにカビがきてしまったので取り除いて干してしまうことにした。梅酢がちょっと濁ったが、これも漉して日光消毒し、捨てずに様子をみよう。
このバルコニーを半間(約90cm)外に飛び出させたのは本当に良いアイデアだった。方向としては東北の角で影地なのだが、午前中は日が当たるし、午後は西日が回るとまたこの張り出しに日が当たる。風通しがいいのはもちろんで、物の乾燥にはすごく便利な場所なのだ。
また、風呂上がりにここに小さなイスを置いて風に当たるのは本当に気持ちいい。風が気持ちいいと感じられるのは、クーラーなしの生活をしているから尚更で、「自然の風に勝るものなし」とつくづく思うのである。
このバルコニーは私の提案で鉄工所に特注したものだが、この出っ張りを作らずに後でその可能性に気付いたとしたら、地団駄を踏んで一生後悔していたと思う(笑)。それくらい重要な半間スペースである。
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ナスの炒め物。薄い塩水でアク抜きしてから細かい切れ目を入れ、たっぷりの油で皮面から炒める。フタはしないで焦がさないようにじっくり焼く。ひっくり返して裏面に焼き目がついたらできあがり。
つやつやした皮面を表にして盛りつけ、ショウガのすりおろしと鰹節をたっぷりかけ、醤油を回しかけていただく。私はナスはこの食べ方が一番好きだ。
バルコニーの出っ張りにイスを持ち出し、暮れ行く瀬戸内海を眺める。反対方向に金星が瞬き出す。今日は木星が寄り添っている。
やがて白鳥座のデネブが見え、次いでアルタイルやベガが・・・。今時分、バルコニーの正面には夏の大三角形が現れるのだった。
星座表アプリでしばらく「バルコニー飲み」が楽しめそうであるw。