3日目/伊勢神宮宮域林~天理~神戸~淡路島~鳴門~穴吹(徳島)


朝、相方を伊勢神宮内宮に案内する。まだ人の少ない伊勢の神域は本当にすばらしい。遷宮はあと7年後だが、準備はすでに始まっており、前日はその祭祀があった。神宮支庁の営林部長Kさんの案内で宮域林に入る。僕は3回目の取材だが、前回は雨、前々回は冬だったので、いい写真が少ない。今回は大きなデータでいい写真を撮るのが目的だが、夏はヒルが多いというのでK部長はヒル避けのスプレーを用意してくれていた。

今回の台風でも宮域林はびくともしなかったそうだ。五十鈴川の水量は参道まで上がることはなかったという。昨年、同じ流域の宮川村では大被害を出した台風のときも、ほとんど同量の雨が降ったはずだが、被害はなかった。その保水力には驚くべきものがある。K部長は最後に、宮域林全体が見渡せる剣峠の岩場に僕たちを案内してくれた。この5千ヘクタールの森は、かつてハゲ山で洪水を頻繁に起していたとは信じられない。崩壊箇所はまったく見当たらないのだ。

宮域林5千ヘクタールのうち約半分がヒノキ人工林(強度間伐・広葉樹との復層林)、半分は天然林になっている。この天然林部分は、禿げ山時代からまったく人の手を加えていないという(間伐なども行なっていない)。「人工林は強度間伐」「自然林は放置」ただそれだけで、大正時代に施業を開始して約80年で、治山治水に優れた山ができたのである。ひるがえって、今の日本の森では「人工林放置で表土流出・砂漠化」「山林がほとんど復活しない弱度な間伐/補助金施業」「広葉樹の”美談植樹”で森づくりのマネごと」が行なわれている。その結果、各所で恐ろしいまでの山林崩壊が始まっているのだ。こんなバカなことをいつまで繰り返すのだろうか?

取材は午前中で終わり、昼は相方に「赤福」を案内。再びコペンに乗り込んで宮域林を走る県道を通っていったん南下し、再び奈良方面へ北上する。吉野に隣接する場所だが、ここでも崩壊人工林を多数見かけた。どうも、有名林地の周囲のほうが崩壊は激しいように見える。おそらく産地という自負があるだけに「切り捨て間伐」への強いアレルギーがあるのではなかろうか。それでじりじりと放置したまま間伐手遅れになり、やや大きな台風雨や雪がきたときにいちどに折れてしまうのだ。天理から高速に乗り、大阪・神戸を通過し淡路島へ渡る。さすがに疲れてきて相方にハンドルをあずける。今日の宿は相方の友人、徳島の I さん宅である。


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