朝食をいただいた後、コペンで穴吹川を遡り、剣山の登山口へ向かう。正規の国道ルートは復旧不能の崖崩れで不通。迂回路は岩山の絶壁を行くコンクリート舗装の道だった。剣山山頂付近の原生林は非常に価値あるものだが、その下の人工林は酷い崩壊を見せていた。
第二かずら橋の下は、以前訪れた時に比べ淵の底が土砂で埋まってしまい、魅力の感じられない渓相に変わっていた。祖谷を下り始めて最初の民家に洪水被害の痕跡があった。道ばたのおばあさんに聞いてみた。「今年の台風で床上浸水、こんなに水が出たことはここ数十年で初めて」ということだった。両岸にコンクリートの護岸、その中には土砂で埋まった水流が細い流れをのぞかせているだけ。あの祖谷の源流が、である。
京柱峠を越えて高知へ入る。この峠の両側は広大な人工林地帯だが、どちらも生き枝の枯れ上がった線香林状態が延々と続く。崩壊箇所も見られる。魚梁瀬の林地を目指したのだが、時間切れで到着したときは日が暮れてしまった。本当は木沢村方向を通れば速いのだが、台風で国道がズタズタになっているとのことで、高知回りで行ったのだった。東洋町へ降りて、海岸沿いを徳島まで戻る。Iさん宅に着いたのは11時を回ってしまったが、それから明け方3時まで林業の話を交わした。