茨城の日立にある叔父の田んぼを手伝い始めたのは前の日記に書いたが、今回2回目はいよいよ田植えである。前回の作業で苦労して作った水路は水に満たされてしっかり機能していた。
収穫後、春まで乾田化してしまう普通の田んぼなのだが、水を入れてひと月も経たずミジンコが泳ぎタニシやザリガニの子供が動き、ドジョウまでいるのだった。
まずは田植機を田んぼに下ろす作業。車輪が細いので前につんのめらないようにロープで引っぱります。
これが田植機に装填するイネの苗。ハウスの苗代で叔母さんが作ったもの。農協で買うと一箱750円だそうだ。装填前に顆粒状の防虫剤をパラパラ。水をかけて根の付け根まで下ろします。
田植え開始。4条植えの機械がみるみるうちに苗を植えて行く。その手際(?)の良いこと。よくもまあこんな機械を考えたものだ、と関心するのである。叔父はすっかり元気になり「いや、田植えができるようになってよかったねぇ」と近所の人に声をかけられる一幕も。
田植機では田んぼの外周ぐるりを最後に残しておく。旋回のためにそこは土面が荒れる。その部分はトンボで均しておく。
一往復ごとにイネの苗は減っていくので、ハウスから苗を運び、機械に装填する連携プレーが欠かせない。
4反ちょっとの田植えが午前中で終わってしまった。機械は速い! このあと、角などの植え残された部分や、機械の失敗箇所などを手で補植するのだが、それは2日ほど経って水が澄んでからするのだそうだ。
でも、地面に落ちていた苗で手植え気分をちょっと味わってみた。足を入れるとすねのあたりまでズボッと入る泥田だが、手植えしようとすると案外泥は浅く、すぐにイネの根は泥に収まる。
あとは除草剤の散布や水の管理などがある他は、大きな手間は稲刈りまでない。システム化された現行農法は楽ではあるが、米の生産者価格は近年どん底に安く、農薬代、機械損料、油代などを差し引くと、ほとんど儲からない、ということになるらしい。
減反もあるが、それでも日本人は米を作り続ける。帰りは前回と同じコースで塩原まで山間部の田植え地帯を観察しながら北上した。どこでも鏡のような水のきらめきの中に、かわいらしいイネ苗が点描をつくっているのだった。