皮むき巻き枯らしと「広葉樹植林しない」のススメ


ヒノキ林の巻き枯らし


久しぶりにヒノキの巻き枯らしをやった。ここは屋敷の上部にあり、イタルさんの傾斜畑(かなり急)の中を登ってたどり着く。三年前に本数で5割ほどの間伐(伐り置き、巻き枯らしの両方)を施したところだが、やっぱり下草の回復は遅いね。枝を張るヒノキは、材積率で5割やらねばダメだ。

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さて、もうお盆を過ぎ、木は水を吸わなくなっているので皮は剥けるかな?とやってみたのだが、けこう剥けるのもあり、剥きにくいのもあり、といったところだった。これは剥ぎやすかった個体。作業は1本5分もあれば。

剥き方は。まず手ノコでぐるりと皮に切れ目を入れ、それと十文字にナタで縦に斬りつけて、樹皮をナタでめくりながら剥いでいく。切れ目のところから上へ剥がしたり下へ剥がしたり。下は剥がしはバナナの皮むきのようになります。

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これは剥きにくかった幹。こんな感じに皮が残ってしまう。このあと、ナタで丁寧に剥いていくとけっこう時間がかかる。

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これは3年前の7月に剥いたものである。皮を剥いた場所では穿孔害虫の被害(虫穴)はほとんんど見られない。立ち枯れの皮付き木では穴だらけなのと対照的である。

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上部の葉は完全に枯れて、空間ができている。そこへ周りの木が生き枝を伸ばしていく。

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ひょろひょろの線香林でも、この枯れ立ち木のおかげで風雪害から守られる。昨年の9月の大型台風直撃で、わがH集落はかなりの被害を受けたが、ここは無傷であった。したがって、残した木はじょじょに太り始めている。

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元気のいい木に虫害は少ない


切り捨てや巻き枯らし間伐で虫害がよく話題になるが、基本的に元気のいい生きた木には虫はつきにくい。産卵したとしても、ヤニの力で殺されしまうからだ。

伐採放置の木に虫がついたことを、あたかも森林被害のごとく書く研究者もいて、「それじゃやっぱり巻き枯らしはムリだな」という誤解を招いている。それが間伐を阻んでいるとしたらとんでもないことである。

そもそも自然林を伐って単一樹を植林しておきながら、手入れを放棄して、周囲に様々な迷惑をかけていることを忘れてはならない。表土流出、土砂崩壊、花粉症、カメムシ発生による果樹の被害等をどうしてくれるのか?

ニホンキバチには巻き枯らしが有効


ただし、生きた木にも被害をもたらす例として、ニホンキバチの例があるようだ。ニホンキバチは頭が悪いのか、生きた木に産卵しても幼虫が育たないのに産卵してしまう。それだけならいいのだが、この産卵時に腐朽菌を注入する習性をもつ。

これで木質を変化させ孵化した幼虫が餌を食べやすくなるのだ。もちろん生きた木だから、幼虫は死んでしまう。が、この菌が木肌に星形のシミをつくってしまうため、市場では買いたたかれる。

私に言わせればこれも解決策がある。キバチは根元に近い1番玉に部分しか飛ばない。だから、皮むきの巻き枯らしをすればその部分が露出し、産卵を避けられ、個体の異常発生を防げると思う。皮むきの巻き枯らしは期間が年間の1/3と限定されるのがネックだが、周年できるように道具を工夫すればよいのだ。

私の住む集落にもキバチはたくさんいて、よく薪積み場に集まってくる。しかし、3年放置した皮剥き巻き枯らし木を数本伐採し、中を割って調べてみたところ、被害はまったく見られなかった。それどころか穿孔害虫の被害も驚くほど少なかった。したがって、この木は薪にするのが惜しいほどで(ヒノキの芳香がすばらしく、ツヤも良い)クラフトの材料に使ったりした。

巻き枯らしの材が使える!


すなわち、皮むきした巻き枯らしの木が、倒せば材としても使えるのである。実際、このような施業をしていた地域があったと、鋸谷さんから聞いたことがある。葉枯らし乾燥と同じ原理で、心材まで水分が抜けて、運ぶのにも使うのにも好都合なのだ。また、ふつう丸太で保存すれば芯割れを起こすが、巻き枯らしの木は根っこで繊維が繋がっているせいか、表面に顕著な割れがみられない。

木材は皮の部分で成長するので、ここに糖分が集まっている。それで虫たちが来る。が、皮むきするとその成分が雨で洗われるので、虫たちが食べても美味しいものではなくなるのだろう。皮を剥けば質感があまりにも違うので産卵される確率も非常に弱まる。

もっとも、ニホンキバチのシミ程度は木材の強度になんら影響はないのであって、シミを気にする成金貴族趣味の脆弱なエセ日本建築文化こそが滑稽である。囲炉裏で薫きしめた家をぞうきんがけすれば木材は茶光り、黒光りしていく。節もシミも目立たなくなる。法隆寺の柱は南側に節だらけの材を置いているのをご存知か?

柱にヒノキの無節を喜び、かもいにスギの正目を珍重する一方、偽プリント合板やサイディング壁使用というちぐはぐな現代住宅はいったい何なのだ? これが、私たちがほんとうに望んでやっていることなのか?

光があれば広葉樹が芽生える


下草の回復は弱いとはいえ、林縁ちかくにはアカメガシワやユズリハなどが芽生えている。植林したのではない。自然に生えてきたのだ。今後も競争する下草がなければこのままで良く育っていくだろう。

皆伐して広葉樹植林すれば、下刈りの手間が大変である。ハチが飛ぶ暑い炎天下、誤伐やツル切りに何年も悩まされるのを、広葉樹植林美談に酔いしれる人は知らない。

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巻き枯らし材と立ち枯れ材はこんなにちがう


この日、同じ林分の立ち枯れ(自然枯死)のヒノキを伐採し、薪に作った。穿孔害虫の穴と腐朽菌で辺材は使いものにならない。巻き枯らし木のものとの違いは歴然としている。

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さて、こちらは畑からの本日の収穫。

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最近お気に入りなのは、ミョウガの梅酢あえ。さっと茹でたミョウガをそのまま冷まし、ぎゅっとしぼってから梅酢に30分ほど漬ける。それを細かく刻んで、削りたてのカツオブシをかけて食べる。これだけでご飯が何杯も食べられる。今年はアトリエの梅でできた梅酢である。それがまた美味しさを倍加している。

森も畑も、自然の力を上手に利用するのが良い。

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愛媛ミカン農家のカメムシ被害

 


コメント

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