不思議なことにこの雨の多い日本で、建築の周辺に関わる雨水のゆくえは設計段階では曖昧である。建築自体に「雨仕舞い」という概念はあり、そのディテールはよく研究されているが、その先の排水処理は抜け落ちており、杜撰でさえある。
新興住宅地のようにコンクリートとアスファルトで固められ、地下埋設の配管に明快に流れ落ちるような場所ならいいが、土が露出した場所や建物に庭が連続している場合は、雨跳ねや水の停滞が建物を痛めてしまう。
雨落ちはコンクリートのU字溝にグレーチング、その上にゴロ太石という設計だったが、U字溝をことごとく壊して成果を出している矢野さんがそのまま受け入れるはずもなく、タクシーの中で描いてきたというイメージ図(下)が工程会議を通った。
“福島県三春町「福聚寺」再訪2回目・後編/有機的排水溝、夕暮れの紅葉” の続きを読む