森のこと(1)/山づくり(鋸谷さんとの共著)9刷


カナダでのトウヒ(針葉樹)森林での話。

トウヒの森は40年から120年のサイクルで害虫(ハマキガの一種)の大発生がおきる。すると森に光の穴が空き、その害虫を食べる鳥や昆虫が増えてその害虫は激減し、ふたたび森の再生が始まる。

ところが木材原料を枯らしたくない人間はDDT農薬でその害虫を先に殺そうとした。すると森の密度が高くなり、害虫を食べる鳥や昆虫が中に入れなくなって、さらなる害虫の大発生を招いた。

そこで今度は、有機リン系のフェニトロチオンを何万エーカーという北方樹林に散布した(1970年にカナダ政府の指導による)。するとこの薬剤はブルーベリー産地のマルハナバチを殺してしまうことになった。受粉バチを失ったブルーベリーの生産高は何年も激減した。(『ハチはなぜ大量死したのか』ローワン・ジェイコブセン/文藝春秋2009))

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日本のマツ枯れ防除の薬剤散布でもずいぶん被害を受けた虫たちがいたのだろうな。

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オニヤンマ来る


相方yuiのブログ(こちら)でトンボのことが書かれていたのに、今日のトピックスが漏れていたので追加。

今日は、なんと家の中にオニヤンマが飛び込んできたのだ。って、窓を全部開け放していたわけではないよ。開口部は網戸をかけてあり、網戸なしの窓はそれほど大きくないのだが、居間の和室にオニヤンマがホバリングしているではないか。もちろん網戸を開けて逃がしてあげた。旧アトリエではオオムラサキが家に飛び込んできたことがあったが(写真はこちら)、オニヤンマは初めてだわな。

私たちは、基本的に家に入ってきた昆虫は殺すことはめったにしない。窓を開けて逃すか、逃げないやつは捕虫網で捕らえて外へ放つ(なんせ昔、昆虫少年だったもんで、捕虫網は常備してあるし捕らえるのも得意)。

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沼田の大桑と桐下駄


沼田市石墨町の「薄根の大桑」を見に行ってきた。デカい。クワがここまで大きくなれるものなのか? 推定樹齢1500年。日本最大のヤマグワであり、古くから養蚕の神として讃えられてきたという。

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桐生の火と水


先日、実家の水戸へ行った帰り、栃木の佐野から山越えで梅田へ向かうルートをとった。実は、この道沿いで伐採と集材をしていた場所があって、そこの残材を薪に貰おう、と目をつけていたのだ。いま、スギ・ヒノキ人工林の伐採跡地では、オイシイところだけを持って行くだけで、後はすべてゴミとして山に捨てていく。だから、驚くほど大量の残材が、斜面にごった返している。ちょいと道ばたに車を止めて、ちょいと道に近い場所の斜面の木を拾うだけで、およそ一ヶ月分の薪が入手できる。これを、誰も使わないのだ。もったいないことだし、次の植え付け時には地ごしらえ、という作業があるのだが、そのときじゃまでしょうがないだろう。

さて。本日、大村しげさんの『京都 火と水と』(冬樹社/1984)を読了。私は故、大村しげさんのファンで、拙著『山で暮らす 愉しみと基本の技術』にも何編か紹介させていただいたが、これも、いい本だった。前橋の県立図書館で閉架図書として眠っていた本である。まったく、なぜこんな名著が・・・。ぜひ文庫化してほしいと思う。

京都の火と水にまつわるエッセイだが、その文の中に暮らしの息づかいが込められている。

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