沼田市石墨町の「薄根の大桑」を見に行ってきた。デカい。クワがここまで大きくなれるものなのか? 推定樹齢1500年。日本最大のヤマグワであり、古くから養蚕の神として讃えられてきたという。
なんとなく普通の木ではない感じ。パワースポットに来たときに感じるふわふわ感がある。写真にもハレーションが起きている。
葉は小さくおとなしい。
今日は沼田の丸山さんちに歯すげをお願いしておいた下駄を取りに来たのだった。歯の減った部分を鉋で削って新しい桐材を接着剤で継ぎ足してくれる。値段は800円。側面は砥の粉処理で継ぎ目が見えない。これで、またしばらく履けるだろう。
というわけで丸山のおっちゃんとまた話込んできたのだが、今日はもう一つの目的地「アート&ごはん/こまつや」さんにお邪魔した。
大桑に魅せられ、その近くに廃屋としてた放置されていた茅葺き民家を、ご夫婦で改装(掃除だけで2年かかたとか!)。今は、古風なギャラリー・カフェとして静かな佇まいをみせる。閉店まぎわにもかかわらず、丁重なおもてなしを受けた。
というのも僕らを桐生に導いてくれたYさんが、こまつやさんに私の新著を見せたりしていたらしのだ。奧様は切り絵をされ『いしずみの里から』という著作もお持ちである。13ページの切り絵が秀逸ですね。
夕刻で写真が撮れなかったので、また明るいときにお邪魔しよう。
さて、群馬一の桐下駄制作者、丸山のおっちゃんは9月16日から22日まで、高崎のスズランデパート「大群馬展」に出店するらしいよ。沼田周辺には60軒からの下駄職人がいたんだって。それがいまやたったの2軒。後継者は?
「いないね。高卒で問い合わせも来るけど、いきなり『給料はいくらもらえますか』だもの。そんな気持ちじゃ無理だわな」。
おっちゃんは店をたたんだ職人さんたちから桐材を安く譲り受け、ストックはかなりあるらしい。だから安く出せるらしい。本物の桐下駄の味わいを、多くの人に知ってもらいたい、とい気持ちなのだ。おかげですごく忙しいらしい。
桐材は二夏雨ざらしにする。それでアクが抜けるという。桐下駄の表面は、カンナをかけた後、竹のササラでしごき磨いて(これを「うづくり」という)、仕上げとする。塗装はしない。つるつるしているのに、足の湿気を吸ってくれる。
私も最初は東南アジア製の塗りものの桐下駄を履いていたんだけど、丸山のおっちゃんの桐下駄を履いたら軽い! そしてなんとも足裏が気持ちいい! 桐下駄は永遠に不滅なのだ。みなさんもぜひどうぞ。
おまけ。
エッセイ「杉とアセンション」