屋久島紀行16.(宮之浦岳〜花之江河〜淀川小屋)


暗いうちから起きだして、日の出前に出発する。前夜、星が出ていた。天気は晴れ。僕らは勇躍、屋久島最高峰への縦走へと出発した。

middle_1206048774

“屋久島紀行16.(宮之浦岳〜花之江河〜淀川小屋)” の続きを読む


新年の食を刻む


大晦日、近所のスーパーを観察にいってきた。食品売り場はごった返しており、オバサンたちの買い物カゴには「刺身」「牛肉」それに寿司だの唐揚げだのきらびやかに飾り付けしたお惣菜などが載っている。タコやカニなどがどどどっと売り場に並ぶのも恒例ですな。でも、以前、東京暮らしのとき築地やアメ横でバイト経験のあるオレはその実態を知っているのだ。冷凍庫にしまってある売れ残りの「越年(えつねん)モノ」を一掃するのに、この年末は好都合なんだよね。

まあ、それはいいとして、アフリカ産のタコだとかチリ産の養殖サケだとか、情けないな。近頃はなんとマグロまで養殖なんだね。かといって近海物は高いし。

畜産肉に至っては、飼料は遺伝子組み換えだしBSE騒ぎもあってまったく信用できない。アトリエの食事では肉を食べなくなって久しい。なんだか買って料理する気がおきないのだ。

で、僕らは何を買うかというと、納豆と油揚げ、北海道産の塩マス、それに銚子産のメザシ。野菜は買わない。全部で1000円以下だぜ。元旦のメニューがこれだ。

middle_1199258179

“新年の食を刻む” の続きを読む


クレソンとイチジクのサラダ


台風で大水が出た沢は回復し、ワサビやクレソンが復活してきた。暖かいせいか、すばらしい回復力だ。

アトリエわきの小沢は畑に沿う部分はコンクリート三面張りになっているので、そこにわざと突起を置いて(木の棒や石)腐葉土のかかる部分をつくり、クレソンは増える場所をつくっているのだが、毎夏、オバケのように増えて水路を塞ぎ始めるので、刈り取る作業もいる。それが今回の台風でことごとく流されてしまった。

しかし、上流にはまだ移植した株が残っており、それが再成長している。

さっそくクレソンをサラダにする。ちぎった株を洗ってよく水をきり、ざくざくに切ってボールに入れ、オリーブオイルを少量入れてスギ材でつくった自作フォーク&スプーンでトスする。それにヤーコンをスライス。イチジクを切って上に配す。中央の黄色は採りたてのターメリック(うこん)を刻んでぱらり。

middle_1196217429

“クレソンとイチジクのサラダ” の続きを読む


ハーティ・スープ


旅がいまのように快適でなかった時代に宿にたどりついた旅人に生き返らせるような食べ物はスープだった・・・というような書き出しで、丸元淑生の料理本『スープ・ブック』は始まる。英語にはハーティ・スープという言葉がある。

「ハーティ(hearty)という語はスープについたときは、実質的な、たっぷりの、栄養あるという意味になりますが、スープを形容するこれ以上の適語はないように思われます」「現代人はいま豊かな食材に恵まれて快適な生活をしていますが、大多数の人の食事を栄養的に見ますと、実は過酷な旅をしている旅人の状態ということができます」(同書)

なるほど。日本人にとってスープといえばやっぱり味噌汁。本物の出汁と本物の味噌、それに様々な野菜具を入れた味噌汁は、日本のハーティ・スープだろう。でもパン食に味噌汁は、やっぱり合わない。

“ハーティ・スープ” の続きを読む