大晦日、近所のスーパーを観察にいってきた。食品売り場はごった返しており、オバサンたちの買い物カゴには「刺身」「牛肉」それに寿司だの唐揚げだのきらびやかに飾り付けしたお惣菜などが載っている。タコやカニなどがどどどっと売り場に並ぶのも恒例ですな。でも、以前、東京暮らしのとき築地やアメ横でバイト経験のあるオレはその実態を知っているのだ。冷凍庫にしまってある売れ残りの「越年(えつねん)モノ」を一掃するのに、この年末は好都合なんだよね。
まあ、それはいいとして、アフリカ産のタコだとかチリ産の養殖サケだとか、情けないな。近頃はなんとマグロまで養殖なんだね。かといって近海物は高いし。
畜産肉に至っては、飼料は遺伝子組み換えだしBSE騒ぎもあってまったく信用できない。アトリエの食事では肉を食べなくなって久しい。なんだか買って料理する気がおきないのだ。
で、僕らは何を買うかというと、納豆と油揚げ、北海道産の塩マス、それに銚子産のメザシ。野菜は買わない。全部で1000円以下だぜ。元旦のメニューがこれだ。
以前にも紹介した菜の花といりこの炒め、ニンジンとダイコンとユズのなます、白インゲンの煮豆。純米酒を杉の升でいただきます。これは高知の魚梁瀬杉の赤身で作られた升だ。
白インゲン、今年は遅まきしすぎてできなかったが、乾豆で保存してたやつがある。2年モノだがまだまだ美味い。まったく、スープに良し甘く煮て良し、すばらしい豆である。
そしてお餅。ことしは乾燥エビを入れた餅もついてみた。ちょっとエビが足りなかったかな。
締めはもちろんお雑煮。というわけだから今年は鶏肉もいれなかった。そのかわりに油揚げ。薬味の柚子皮がすばらしね。柚子はこの季節のおかずに何にでも合う。柑橘類というのはそもそも南方系なのだが、柚子は最も北で実をつけてくれる柑橘類だ。東日本以北で暮らすものにとって、天与の柑橘といっていいだろう。それほどまでに、1個の柚子は料理の質を高める。「画竜点睛」というやつだね。
今年も涙が出るほど美味しいお雑煮で始まる。質素だって? 毒とエネルギー消費の虚無な養殖魚&動物肉を食べるくらいなら、これで十分だぜ。
オマケ。ここまで削れる鰹節。
『神流アトリエ日記』本年もよろしくご愛好のほどを。