2階へ


今年は1月からすでに温かい日があって、囲炉裏ではなく外(庭先)でチビカマを出して朝食兼昼食をとることも多くなってきた。が、チビカマを外へ出してみたものの、今日は風が寒い。囲炉裏に変えようと室内に鍋を移動した。

ところが庭に戻ると風が止んで、再び温かい。うーん、中か外か、ぎりぎりの線だナ。コルビュジエの写真集なんぞを読みながらコーヒーをすするうちに突然閃いた。

チビカマは鋳物のカマドで軽いので移動できる(少々の火ならそのまま移動も可、というスグレモノである)。また、底に足があるので室内でも使えるのだった。そうだ、2階を使おう!

2階は倉庫状態で、ちょこちょこと掃除はしているものの、改装はまだ手つかず。だから階段から土足で上がっている。南側は障子もすべて取り払ってあるので、板戸を開けると全面開放のテラス、という状態になる。

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スギの残滓


昨年8月に取材した群馬県松井田の田辺林道施業のその後を見てきた。2日間の田辺さんらの施業を引き継いで、地元の作業班が道を延ばしていた。田辺林道の大きな特徴の一つは、盛土に表土をブロック積みして自然植生を促し、法面の崩壊を防ぐことである。

8月に施業したということは、その植生回復には時期的に不利なのであるが、崩壊はまったく見られない。盛土の基礎とも言うべき「床掘り」とその転圧、さらに表土を地山と交互に積むことによる転圧効果によって、植生回復によらずとも強固な盛土法面ができている証しのように思われた。もちろん、根株を埋め込む効果、アンカーを使った丸太による法面の土留めも見逃せない。

その作業道を入れた後で、間伐材を出した跡があり、結果的に強度間伐を施した山に変わっていた。数年ですばらしい山に回復するだろう。と、ここまではいいのだが、僕らが目にし、気になって仕方がないのは、その伐採残滓の山であった。

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スギの赤芯


水源の沢の林内にスギの倒木があった。くだんのクヌギを集材するときに一緒に出し、しばらくまるのまま放置しておいたのだが、薪用に玉伐ってみた。案の定、白太の部分(辺材)はグズグズに腐っていた。

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フジとクヌギ


というわけで薪づくりである。今年伐ろうかと考えていたやや太めのクヌギが敷地にあるのだが、かなり太いフジがからみついている。そのフジは、伐ろうと考えていたクヌギの隣にあるやや小振りのクヌギの根元から立ち上がり、その小振りのクヌギを介して絡み付いている。

すなわち、目的の「やや太めのクヌギ」を伐り倒すためにはフジを伐らねばならず、小振りのクヌギも伐り倒さねばならない。大小のクヌギに架け橋のように絡んだフジは、位置が高くて切断がままならないからである。

ところが、ここでもう一つモンダイがあった。小振りのクヌギの側から立ち上がったフジは、「やや太めのクヌギ」を介してさらに上部にあるシラカシ大樹にも届いているように見えるのだ。この3本を伐ったとしても、シラカシに絡み付いているとすれば倒れない可能性も出てくる。

念のため、「やや太めのクヌギ」に梯子をかけ、牽引のロープをかけておいた。まず大蛇アナコンダのようなフジを根元から切断。そして小クヌギを伐る。案の定、倒れない。そして、ぐっとテンションのかかった「やや太めのクヌギ」を伐りにかかる(危険である)。

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キノコのちから


木の「伐り旬」というものがある。木材を使う場合、その木をいつ伐り出すか? で、その材の質はずいぶん変わってしまうのだ。木も竹も、材として使うなら伐るのは「秋」が最適といわれている。もっと幅広く表現するなら、お盆過ぎから年内まで。すなわち9~12月、といっていいかと思う。

この時期は木が水を吸い上げない、活動が止まった時期だからで、8月のお盆の時期なんてまだ旺盛に木は水を吸い上げ成長しているんじゃ? とか、1月なんてまだ冬だから伐っても大丈夫では? などと思うかもしれないが、木(植物)は人間の感覚よりも常に季節を先取りしているのだ。

アトリエに来て最初の冬、’05年の1月9日にクヌギの大木を伐った。そのとき、すでに水を吸い上げており、切り口からしずくがポタポタと落ちた話しは前のホームペ-ジにも書いた。

それを仕立てた薪は、やっぱり虫食いが酷かった。1年目の夏、薪置き場にたくさんのカミキリムシが来ていた。キイロトラカミキリが非常に多かった。秋頃から薪の中でカリカリと音がする。中枝などは穴だらけで地面に叩くと折れてしまうほどだった。これには驚いた。

そして薪2年目の今年、第二回目のカミキリムシ様、飛来。産卵を経て、またまた幼虫がいるのであった。ノコギリで薪を切ってみるとまるでレンコンのようになっている。これじゃ薪としての歩留まりは半分以下だ。クヌギは本来、硬い木で、マサカリを跳ね返すほど稠密な材質である。が、穴だらけにされたその穴には、カミキリムシの幼虫の食いカスや糞が詰まっている。薪だってくすぶる。

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