スギの赤芯


水源の沢の林内にスギの倒木があった。くだんのクヌギを集材するときに一緒に出し、しばらくまるのまま放置しておいたのだが、薪用に玉伐ってみた。案の定、白太の部分(辺材)はグズグズに腐っていた。

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しかし赤芯の部分はまったく腐りがない。手で白太をぼりぼり剥がしていくと、中から赤芯(心材)の個体が出現してくるという感じなのだった。その対比があまりにも鮮やかなので笑ってしまった。これが住宅建材に使われるなら恐いことだ。湿気のある部分で使われたら同じことにならないとも限らない。それにしても、細い材は赤芯の割合が少ないよね。

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この辺材と心材のボリュームは、大径木の場合はどうのような割合になるのか? 林業従事者でも案外この事実を知らない人がいるようだ。答えは、「辺材の幅は大径も小径もほぼ同じ」。むしろ、大径木の場合は、辺材が極端に薄くなるものをよく見る。写真は、高知県の魚梁瀬杉を取材に行ったとき、宿に置いてあったスギ材のテーブルである。赤芯部が非常に大きいのがわかる。

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すなわち、大径木は木材として耐久性の高い赤芯の部分が多いので、建材としてお得なのだ。しかも、年輪は毎年、外側に外側に太っていくから、1年で獲得する材積は小径木に比べてずっと多いというわけ。

ヒノキの場合も同じである(ただし芯がスギほど赤くないので解りにくい)。ヒノキの心材は腐りにくく土台にも使えるほどだが、白太はやはり湿気でグズグズになる。

ところで、このグズグズの部分は日に干しておくと囲炉裏で燃料に使えて便利だ。スギとはいえ、ここまで内容が変わっていると爆ぜることがなく紙のように燃えるのであった。


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