明るいうちにアトリエに到着したので囲炉裏に鉄板をかけて焼きそばを作った。実は先日の増穂の肉屋「ミート高橋」で、「揚げカス」と名付けられた奇妙な物体を見てしまったのだ。ひょっとっして、これが富士宮焼きそばで使う「肉カス」ではあるまいか? 店員のおばさんに聞くとその通り。同じ棚には「イワシ粉」まで売っていた。肉カスとは、豚の背脂からラードを採った残りである。この店の揚げ物が香ばしく美味しいのは、自家製ラードで揚げているからなのだ。

囲炉裏暖炉のある家 tortoise+lotus studio
イラストレーター・著作家、大内正伸のブログ
明るいうちにアトリエに到着したので囲炉裏に鉄板をかけて焼きそばを作った。実は先日の増穂の肉屋「ミート高橋」で、「揚げカス」と名付けられた奇妙な物体を見てしまったのだ。ひょっとっして、これが富士宮焼きそばで使う「肉カス」ではあるまいか? 店員のおばさんに聞くとその通り。同じ棚には「イワシ粉」まで売っていた。肉カスとは、豚の背脂からラードを採った残りである。この店の揚げ物が香ばしく美味しいのは、自家製ラードで揚げているからなのだ。

久々に児玉の助っ人Y氏がやってきてアトリエのスギ林に入った。まばらに広葉樹が伸びて、新緑の色を光に輝かせている。昨年からY氏もいっしょに選木し間伐した成果が見え始めている。「おお、明るくなったねぇ。気持ちイイねぇ」と声を漏らすY氏。足下にはスミレが咲いている。ケヤキやカエデが元気に育ち始めている。この広葉樹も大事に育てていこう。楽しみである。

昨日入手した鉄板とヘラでヤキソバをつくる。これからお客さんが増えることだろうし、ということで大型のものを買ったのだ。焼きそばはマルちゃんの安いやつで、富士宮の輪ゴムのようなかたい麺がなつかしいのだが、群馬では売っていないのが残念だ。でも宅配してくれる現地の製麺屋さんのHPをみつけたのでそのうち入手する予定である。
富士宮の焼きそばづくりのオバサンが「焼きそばづくりに道具は大切ですよ。とくにこの大きな鉄板でつくると美味しくできます」と言っていたが、実際ほんとうに作りやすいのだった。中華鍋では一度にせいぜい2玉しか作れない。しかもキャベツなどの野菜は最初に炒めてから取り置くという手間が必用だが、鉄板なら4玉なんて楽勝だし、麺がこびりついてもヘラで簡単に剥がせる。キャベツなどは炒めた後で端に寄せておけばいいのだ。ま、ちびカマでは火口が小さすぎるきらいはあるのだが。
夕刻、ウドを初収穫する。段ボールで囲いをつくっておいたやつだ。茎のところが白化して、生で食べれる部分が若干増えた。本当はもっと成長するまで待てばいいのだが、待ちきれず2本だけ。根元に近い部分はスライスして生で味噌をつけて。葉っぱと茎の青い部分は天ぷらにした。すばらしい香気、甘みである。ノビルも摘んだが、ウドを食べてしまうともう箸が伸びない。それぐらい採りたてのウドはすばらしい(・・・前橋Hくん。次回は前日に電話して昼間に遊びに来いよナ。ウドの株はまだたくさんあるから・・・)。
朝、NHKテレビの『生活ほっとモーニング』という番組でタコ料理をやっていた。ちょうどタコ焼き用のタコが余っていたのでタコ飯を作ってみる。昆布と鰹節でダシをとり、酒、みりん、醤油、ショウガ(わりとたっぷり)で2mmくらいに切ったタコを入れて米を炊くのである。ここでも「五人娘」というナチュラルな日本酒をたっぷり使ってみた。

生放送のこの番組では、炊飯は土鍋で炊いていたが、調理人が「電気釜で炊くよりもこのほうがずっと旨いですよ」と思わず漏らして笑ってしまった。スポンサーの影響の強い民放ではちょっと言えない×言葉だろう。
直火で炊くと旨いだけでなく、電気よりも時間が短縮できる。僕らは相変わらず羽釜+チビカマ+スギ薪で炊いている。庭先にミツバがたくさん芽吹いている。それを摘んで味噌汁をつくる。

高級米+浄水器の水+電気釜の炊飯と、並米+山水+薪火の炊飯を比べるなら、後者のほうが絶対に美味しいと断言できる。日本人は水と薪の火という大切なものをいとも簡単に棄ててしまった。その代償はあまりにも大きい。そのツケは、まわり回ってタコの棲む海にまで影響してくるのだが。

『現代農業』の連載「山暮らし再生プロジェクト」の中で料理をとりあげたとき、「川も海もダメになったら、最後の砦は山しかない」と書いた。これは全国各地を見渡してみて偽らざる実感である。その山すらも守れないなら、これはもう全員揃って破滅するしかないのである。
とうが立ちはじめた畑のホウレンソウ、ハクサイ、越冬してようやく勢いがついてきたパセリとフェンネル、湿地にもどってクレソンをたっぷり摘んで、サラダをつくる。水切りにはサラダ・スピンナーという遠心力を用いる手回しの道具が便利。パン粉を軽く煎ってトッピングにし、ワサビドレッシングでいただく。
