シドキとキャラブキ


久々に児玉の助っ人Y氏がやってきてアトリエのスギ林に入った。まばらに広葉樹が伸びて、新緑の色を光に輝かせている。昨年からY氏もいっしょに選木し間伐した成果が見え始めている。「おお、明るくなったねぇ。気持ちイイねぇ」と声を漏らすY氏。足下にはスミレが咲いている。ケヤキやカエデが元気に育ち始めている。この広葉樹も大事に育てていこう。楽しみである。

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庭先にイカリソウが咲いた。その隣にモミジガサが出てきたので茹でて食べることにする。山菜の王国である東北地方ではシドケ(シドキ)と呼ばれ最も好かれている山菜の一つで、歯触りがよく、高貴な甘さを持っている。薪の火と山の水で摘みたてを茹でると、その味わいはいっそう鮮やかだ。茹でて、削りたての鰹節と擂りゴマ、そして醤油をかけるだけだ。

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その甘さの質は、先日ガッカリした東京のカレー屋の砂糖甘のキャベツ・ピクルスとは雲泥の差、というかそもそも次元がちがうのだ。だけど、キャベツにはキャベツ本来の甘さがあるはずで、ピクルスには発酵がもたらす繊細な甘さがあるはずなのである。それが、まるで砂糖まぶしのようなものを、人気ブログでおだて、はやし立てている。何も知らない都会の若い人がブログにつられて食べに行ったなら、それが本当の旨さと思ってしまうかもしれない。そして「田舎料理は素朴さはあるけれど、本当のグルメは都会にしかないんだ」などと思ったとしたら・・・嗚呼。

フキも初収穫した。こちらはきゃらぶきをつくる。若いフキは下煮の必用がない。茎の部分は収穫後皮を剥いてすぐ醤油と酒・みりんで煮詰めるのだ。途中で一度冷ましてからまた煮つめていくと味よく仕上がる。これは地元のおばあさんに教わったやり方だ。しかし、地元の人は料理に砂糖を使いすぎると思う。砂糖の甘さはくどく直線的で、山菜や野菜の持つ本来の甘さが消し飛んでしまうのだ。フキの葉っぱは下茹でしてから同じように煮る。これも香り高く美味しい。僕らはお菓子以外の料理に砂糖はほとんど使わない。

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砂糖がこんなに使われ出したのは戦後のことだろう。いま田舎の人はタクアンのような漬け物にも砂糖を使い、その味を台なしにしてしまう。市販の加工食品のほとんどに砂糖が添加されている。そして化学調味料が加えられ、合成保存料で腐らないようにしている。それは作り手がみえない食品の運命でもあるかのようだ。


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