大地の再生『現代農業』連載5回終了!


農文協の月刊誌『現代農業』、矢野智徳氏の「大地の再生」についての短期連載(昨年秋10月号〜)が無事終了しました。最終回(2月号)は「有機アスファルト」の予定でしたが、もう少し広く「有機的な土木」をお伝えしたいと思い、木杭と植栽を使った石の据え方や土モルタルにも言及しました。

5回の連載で矢野さんの技術や思想、「大地の再生」の全貌をカバーすることはとうていできませんが、大事なエッセンスは伝えることができたと思います。

各回のタイトルと見出しは以下のものです。

◾️第1回(2018.10月号)【溝と点穴で、弱ったミカンが甘く回復】・・・土中の空気の動きが重要/ミカン農園の試験的施業/「溝」と「点穴」の作り方/水と空気を動かす木の根のネットワーク(6ページ構成)

◾️第2回(2018.11月号)【抵抗柵とU字溝の穴で、ほどよい流速に】・・・小さな脈が全体に影響する/「抵抗柵」で流速を弱める/U字溝に穴を開ける(4ページ構成)

◾️第3回(2018.12月号)【草を味方にする 風の草刈り】・・・グランドカバーで裸地に草を生やす/草が風で揺れる高さで刈る/風の抜け道を作る/道具の選び方、使い方/風のせん定、つる植物の処理(6ページ構成)

◾️第4回(2019.1月号)【水みちを作って、川底の泥を団粒化】・・・停滞する水を解放する/走り過ぎの水を制御する/沢や用水路の管理にも/生態系の再生は水脈が鍵(4ページ構成)

◾️第5回(2019.2月号)【現代土木に風穴を開ける 有機アスファルトと土モルタル】・・・2割程度の有機物を混ぜる/セメント粉も上手に使う/全体を見通すことが重要/有機アスファルトの作り方(6ページ構成)

連載開始1回目の経緯は2018.9/1のブログにアップしました。このページは「大地の再生」取材のアーカイブ(リンク)としても活用できますのでどうぞお使いください。

「大地の再生」テーマに『現代農業』新連載開始!

今年は単行本制作に向けて頑張ります。皆様の変わらぬご支援・ご指導をよろしくお願いいたします。m(_ _)m


大地の再生@仙台秀明/2,敷地周遊、池・目隠し・杭打ち比重1


竣工祭に向け敷地づくりが成功裏に終わったなかで、唯一の心配事は敷地最下部の擁壁下に出たグライ土壌である。グライ土壌というのは土に空気が通らなくなって鉄分が還元化し、有機ガスが発生する状態で土は灰色ないし青色に変化する(もちろん植物の生育に良くはない)。造成工事の検査に関わる道側部分では大きな通気透水水脈を入れて解決したが、死角の擁壁側にはこれがたまりにたまっているのだった。

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大地の再生@仙台秀明/1-2,茶庭に水が入る、岩の設置


今回の取材、植栽の進み具合の他に、もう一つの注目は茶庭に水が入ったことだった。前回、竹の筧(かけい)や水流の溝が造られているのは見た。そこに水が入り、流れている姿は私の想像を超えていてイメージできなかった。

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大地の再生@仙台秀明/1-1,神仏石の移送、新たな感性の庭


明け方、車で高松駅へ。3連泊できる安い駐車場に止めてキャリーバッグを引いて駅まで歩く(安い駐車場は駅から遠いw)。4:35発のマリンライナーで岡山。そこから新幹線で新神戸。さらに地下鉄で三宮、そしてポートライナーで神戸空港へ。8:30発の飛行機で仙台着9:50。

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大地の再生@宇和島市吉田町/2,みかん山作業道の再生


現在の作業道は、人間の都合で直線に、一定の傾斜でつけようとするために、道自体が大雨のとき川(水路)になってしまう。すると浸透機能が落ちるだけでなく、泥水の流出や、カーブでは水による破壊が起きる。

私はかつて林業のための「四万十式作業道」を取材して本を書いたことがあるのだが、それはローコストで崩れない道を作るためのノウハウで、有機物を用いたり、現地資材を活用したり、最大の注意点としては雨による破壊に細心の注意とアイデアを盛り込んでいて、矢野さんの考え方にかなり近い。が、四万十式には「浸透」を促すという考え方がない。

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