コペンを金剛峰寺の駐車場へ。大塔や金堂、不動堂などから見始め、金剛峰寺の中へ。大塔のある境内へ入ったとたん、なんとも清々しい気と建物の雄大かつ清楚な雰囲気に打たれる。「ここはいままで見た社寺のどこともちがう」。その同じ敷地に、神社が置かれている。それはこの山の神様を祀っているということだ。

イラストレーター・著作家、大内正伸のブログ
コペンを金剛峰寺の駐車場へ。大塔や金堂、不動堂などから見始め、金剛峰寺の中へ。大塔のある境内へ入ったとたん、なんとも清々しい気と建物の雄大かつ清楚な雰囲気に打たれる。「ここはいままで見た社寺のどこともちがう」。その同じ敷地に、神社が置かれている。それはこの山の神様を祀っているということだ。

石手寺を見てから本州へ渡る。四国と本州を結ぶ陸路は三カ所あるが、しまなみ海道はいちばん西側で愛媛の今治と広島の尾道を結ぶ。大小の島に架けられた橋を渡っていくのである。

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四国の古民家には中二階という構造が見られる。最初、2階の窓がやけに小さいので不思議に思っていたのだが、2階は物置であって、屋根と一階天井の空間を大きくとることで夏の暑さをしのぐ工夫なのだ。その下にまた軒を出す。この構造だと家も乾きやすく、長持ちするだろう。徳島には茅葺きが多くみられるが、現在はほとんどトタンをかぶせてしまっている。Tさんも以前はこのタイプの家で、囲炉裏を使っていたそうだ。
また農家の納屋に煙り抜きの小型屋根がみられるものがあって、なかなか可愛らしい形なのだが(舌写真)、これはタバコ葉の乾燥のために中で火を焚いていたのだそうだ。

徳島の剣山方面の山は谷が深く険しい。その中腹のびっくりするような高い位置に、茅葺き民家がぽつんとあったりして驚かされる。Iさんの山や林道を見せてもらった後、Tさんの山も見にいった。Tさんは木材だけでなく、スギ林の下にゼンマイを栽培して収入を得ている。道がないので架線で木を下ろしているのだ。
高知も徳島も、「よくぞこんな急峻な場所に植えたな」という場所がたくさんある。放置すればいいことは一つもないのだから、直接的な収入をあきらめるなら、最短ローコストで優良林に導く鋸谷式間伐でいくか、材が出せる可能性があるなら、田辺林道を入れるか、架線を張るしかない。いずれにしても、山を持っているということは、山を持たない都会生まれの僕にすれば、羨ましいことなのである。

四国霊場 第37「岩本寺」の宿坊は田辺さんのお姉さんが仕切っておられるのであった。そのお姉さんと、朝食後に喫茶室でいろいろと話しをした。昨日の膳もお姉さんの計らいのようだった。僕は広間に立てかけてあった絵のことを訊いた。それはかなり大きな日本画で、青地に金で銀河のようなのたくった曲線がアクションペインティングのように置かれ、そこにグリッドを切って、部分に絵はがきのような風景画が描かれている。よく見るとそれは同じ地に描かれたもので、沈下橋の風景だった。ということは、この銀河は四万十川の暗喩なのだ。
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