徳島の剣山方面の山は谷が深く険しい。その中腹のびっくりするような高い位置に、茅葺き民家がぽつんとあったりして驚かされる。Iさんの山や林道を見せてもらった後、Tさんの山も見にいった。Tさんは木材だけでなく、スギ林の下にゼンマイを栽培して収入を得ている。道がないので架線で木を下ろしているのだ。
高知も徳島も、「よくぞこんな急峻な場所に植えたな」という場所がたくさんある。放置すればいいことは一つもないのだから、直接的な収入をあきらめるなら、最短ローコストで優良林に導く鋸谷式間伐でいくか、材が出せる可能性があるなら、田辺林道を入れるか、架線を張るしかない。いずれにしても、山を持っているということは、山を持たない都会生まれの僕にすれば、羨ましいことなのである。