コペンを金剛峰寺の駐車場へ。大塔や金堂、不動堂などから見始め、金剛峰寺の中へ。大塔のある境内へ入ったとたん、なんとも清々しい気と建物の雄大かつ清楚な雰囲気に打たれる。「ここはいままで見た社寺のどこともちがう」。その同じ敷地に、神社が置かれている。それはこの山の神様を祀っているということだ。
高野山霊峰館で春の企画展「信仰世界の鳥獣たち」を観る。その後、弘法大師廟である奥の院へ行く。ここでもお年寄りがいっぱいで、平日だというのに賑わっている。
この高野山では様々な学びがあった。僕の中の空海観が大きく変わった。それは、とてもこのブログの文章などでは書き表せない。が、根本はシンプルなものである。空海は日本の自然の特質を見抜き、それを生活の上でも、思想の上でも、美においても、最高に活かすすべを心得た人だったのだ。言い換えれば、人は山に生かされ水に生かされているということだから、僕らの仕事にもつながっていくことなのだ。
吉野の山林を観察しつつ三重から高速に乗る。長野の茅野から夜中に八ヶ岳を越える途中、たくさんのシカとキツネに出会う。十石峠からアトリエに帰還したのは深夜1時30分。全走行距離3,200km、愛車コペンは何のトラブルもなく、旅の最後まで快調に走り続けた。