朝、江ノ島に立ち寄ってから、義経ゆかりの寺「満福寺」を拝観する。義経は兵法の天才で、平家滅亡の決定打をうったわけなのだが、その行動力と権力に対する作法が兄頼朝の逆鱗に触れ、鎌倉入りを許されず、平泉に逃れ討たれる。ここ満福寺は、鎌倉入りを拒まれた義経が逗留して、頼朝へ理解を求める切々とした手紙を書いた場所だそうだ(寺が相模国腰越にあったので手紙は「腰越状」と呼ばれる)。この場所から義経の人生が暗転し、逃避行が始まったのだ。
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ウィンドウで完成する
建物ネタを続けよう。しかし、現在の日本の住宅建物はなんと酷いシロモノになってしまったのだろうか。建築の本をたて続けに読んでいる。まずは『ルイス・カーンの全住宅1940-1974』著・写真:齋藤裕(TOTO出版)。囲炉裏端でルイス・カーンもないもんだが、この人のシンプルな空間と自然素材、そして光へのこだわりは好きである。しかし軒のほとんどない四角いボックスの家の壁に、板壁とは・・・。ま、学ぶべきところはある。大きな全面ガラス窓をはめ殺しにし、サイドに小さな木の扉をつけて大きな採光と開放空間と美しさとを両立させているところなど。カーンはメキシコの建築家バラガンの自邸に大きな影響を受けていたみたいだ。うん、それはよくわかる。
レー モンド
またまた締め切りぎりぎりで連載をアップ。僕も大変だが、こんなスレスレの綱渡りに慣れない相方も胃が痛くなって大変らしい。鬼石のヤマト便の朝イチの便でデータCDを発送し、その足で図書館へ。予約していた建築家レーモンドの特集号の『上州風』をゲット。さっそく写真にある軽井沢の「夏の家」を見に行くことにする。藤岡から高速に乗ると軽井沢はちょいの間で着く。
高崎哲学堂
近所に住む篤林家のKさんの山を見に行き、帰りに線香林の雪折れなどを見学して、にゃん太郎君とS子さんを本庄駅まで送る。その足で高崎へ出て、駅近くの旧井上邸「高崎哲学堂」を見にいく。コンクリート打ちっぱなしの「高崎市立美術館」の裏手に大きなケヤキの木立と高い塀に擁された一角があり、土日のみ無料で見学できるようになっている。
コルビュジエ
図書館で借りた『知られざるル・コルビュジエを求めて』(佐々木宏著、王国社/2005.5)という本を読んでいたら、コルビュジエの石積みと木骨構造の住宅設計のひとつ、エラスリス邸の図面が気になった。建築家として出発した10代後半の頃、コルビュジエは生まれ故郷のスイスで何件かの木造建築を手がけているが、このエラスリス邸は40代の設計だ。白い箱、いわゆるインターナショナル・スタイルとして世界中に影響を与えた後の住宅建築で、自然素材を荒々しく使うという新しい路線を打ち出したものである。
ところがそのアイデアが模倣されて、なんと日本の軽井沢に「夏の家」なるタイトルで建てられているのである。その建築家はアントニン・レーモンドといい、帝国ホテルを設計した巨匠フランク・ロイド・ライトの現場管理のために日本に来ていたチェコ生まれの建築家で、「夏の家」は彼自身の日本滞在時の別荘として建てられたのだった。