鎌倉の義経、ブリジストンの雪舟


朝、江ノ島に立ち寄ってから、義経ゆかりの寺「満福寺」を拝観する。義経は兵法の天才で、平家滅亡の決定打をうったわけなのだが、その行動力と権力に対する作法が兄頼朝の逆鱗に触れ、鎌倉入りを許されず、平泉に逃れ討たれる。ここ満福寺は、鎌倉入りを拒まれた義経が逗留して、頼朝へ理解を求める切々とした手紙を書いた場所だそうだ(寺が相模国腰越にあったので手紙は「腰越状」と呼ばれる)。この場所から義経の人生が暗転し、逃避行が始まったのだ。

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今日の鎌倉でのお目当ては、先日見損なった「鎌倉国宝館」(前回は月曜日で休館だったのだ)。ここの初江王坐像(円応寺)はやっぱり見にきてよかったと思える傑作だ。東大寺戒壇院の四天王像に似た優美さと、運慶の強固でみずみずしい造形力を併せ持っている。完全にリアルではないズレ・ゆらぎがあるのに、皮膚に血が通いが動き出しそうな輝きがみえる。

鎌倉彫りの盆もすばらしかった。いつまで見ていても飽きない。この二つを見るだけでここに来た甲斐があったというものである。

雨が降り出したので鎌倉を後にし、東京を目指す。東京駅近くにある「ブリジストン美術館」が石橋財団50周年記念の特別展『雪舟からポロックまで』をやっている。その前に横浜に立ち寄り、山の手の公園や外人墓地あたりを歩いてみた。

ここは「日本の道100選」にもなっているが、見学できそうな洋館があったので行ってみると、なんと高崎哲学堂や音楽堂をつくった建築家、アントニン・レーモンドの設計だという。喫茶室があったのでコーヒーを飲んだ。斜面に大樹が茂って小雨に輝いている。いい建築と樹木という組み合わせはすばらしい。

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夕刻、地下駐車場に車を入れて「ブリジストン美術館」へ。ここには若い頃3~4回常設展を見にいったことがある。20年ぶり以上になるかもしれない。あの頃、僕の肩をトンと押してくれた懐かしい絵たちに再会する。

特別展ということで、久留米の石橋美術館所蔵の絵も来ている。近代絵画のコレクションだけでも見る価値があるすばらしいものだ。展示方法、見せ方もいい。

雪舟は掛け軸の位置をもう少し目線の高さにしてもらいたかったのともう少し明るいとよかったが・・・。まあ四季山水図の現物が間近に見れ、雪舟の筆跡に触れられたただけでもありがたい。そうそう公開されることはないだろうから。

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首都高に乗り、さいたま市で下道に降りて、アトリエには12時前に帰還。


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